34 俳句(冬)



 だれの子かしのび泣く音や雪の夜


<読み>

だれのこか しのびなくねや ゆきのよる



夜どこかから聞こえてくる子供の泣き声。いまは物悲しさを感じるってだけでは済まない世になってきたようです。

虐待を疑ってみたり、あるいは犯罪に遭っていないか心配したり、はたまた人によっては騒音公害だ!なんて迷惑がってみたり。

子供は泣くもの、ぐだぐだ言わず存分に泣かせておけ。というような考えは、いまは通用しないのかもしれませんね。


果たしてこの子は悪さをして親に叱られたのか、兄や姉にやっつけられたのか、友だちとけんかしてしまったのか……。

私自身の子供の頃を思い出してみると――ちょっとやんちゃすると家の外に放り出されて、しばらく中に入れてもらえず、寒い夜なんかは裸足でふるえていたものでした。(今だったら通報されるかも)

たっぷり体が冷えた頃にがちゃりとドアが開いて、「反省したか? 謝るんやったら入れたるわ」と来る。意地を張って謝らないでいると、またドアが閉められて、真っ暗な外に置いてきぼりにされる。もう、意地の張り合いです。おかげで、ちょっとやそっとではへこたれない、頑丈な身体と、少しばかり強いが育まれてしまったような気がします。


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