26 短歌
恍惚のひとはおさない児にかえりむかし負ぶった吾を兄とよぶ
<読み>
こうこつの ひとはおさない こにかえり むかしおぶった あをあにとよぶ
今回はごく私的な、自分語りになります。(詩とはそもそも私的な要素に満ち溢れたものかもしれません……ので、まあ、いっか、と)
幼いころの私はものすごいおばあちゃん子で、祖母も私をとても可愛がってくれました。これは私ひとりの思いこみではなく、母や伯母たちから見ても、祖母は私に特別目をかけてくれていたようです。
初孫でもなく、近所に住んでいるわけでもない私と祖母とがどうしてこんなに特別仲よかったのか、いまから思えばふしぎな気もしますが、とにかく幼いころ、私は祖母にべったりでした。
それが思春期になるとすこし距離をおくようになったのは、反抗期のせい。まあたいした反抗期でもなかったのですが、会えば誰彼かまわずつい突き放した物言いになってしまうので、そんな言動で祖母を悲しませることをおそれて近づかなくなったのでした。
その後進学、就職、さらに海外勤務、と物理的にどんどん遠くなったこともあって会う機会はなかなか増えませんでした。反抗期真っ最中のころは、将来たっぷり金を稼いだらいろんなものを買ってやって楽させてやるなんて思ってたものですが、結局たいしたことはしてあげられず……。ただ、結婚し、曾孫を抱いてもらえたのは、祖母孝行であったと思っています。
晩年は痴呆が進み、任地から帰ってくるたび、さまざまなことが分からなくなっているのを見るのはつらいことでした。
そんな祖母が亡くなったと報せを受けたのは、歳の暮れ。もう十年が経ちました。
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