27 漢詩


今日は大晦日。この詩歌集も、連載開始から半年が過ぎました。ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。また来年もよろしくお願いいたします。

そこで今回は、新年を迎えるよろこびに花を添えるうたを。



 清旦凝霜於松柏

 簇竹榮自作籬柵

 月下梅白猶淡雪

 歳寒在友亦為樂


<読み下し>

清旦、松柏に霜がこご

むらがる竹は榮え、おのずか籬柵りさくす。

月下、梅の白きはなお淡雪のごとし。

歳寒に友在り、た樂と為す。


<現代語訳>

めでたい新年のあさ、松や柏に霜がついている。

竹林は繁って自然とかきになっている。

梅花の白さは淡雪が降ったかと見紛うばかり。

厳寒の新年にも友が在ると思えるのが、幸福だ。



松・竹・梅を「歳寒三友」と呼ぶことは、ご存知の方も多いかもしれません。冬にあってなお緑褪せることなく、しなやかにつよく、清い花を咲かせる松・竹・梅。一義的には厳寒の候に目の楽しみとなるものであり、いては逆遇にあるときこそ支えとなる真の友を想起させるのかもしれません。

松竹梅を愛でる思想は日本に渡ってきたあと、すっかりおめでたい縁起物のようになりましたが、受容としてまあ大筋まちがってはいないでしょう。


※ ところで古代中国・日本に於いて、梅花といえば、紅梅よりもだんぜん白梅!だったようです。


松竹梅を詠みこんだこの詩で「友在り」とはもちろん、カクヨムで交流させていただいている皆さまのことです。「歳寒」はここでは厳寒のことでも逆遇のことでもなく、新年のこととしましょう。

令和五年/2023年、皆さまのご健康とますますのご活躍をお祈り申し上げます。


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