25 俳句(冬)



 木枯しに落葉さはぐや急ぎ足


<読み>

こがらしに おちばさはぐや いそぎあし




ずいぶん風が冷たくなりました。風に散る葉も目に寒々しい。冬の風が木枯らしと呼ばれる所以がわかる思いがします。歌によく「こがらし」と書かれる字の成り立ちも、木を吹き枯らす風との意からです。

樹々から葉を散らす風はまた、路のはしに積もった落ち葉を吹き散らかしもします。足もとでからからと騒ぐ葉の声は、たださえ寒風に身をきゅっと縮めるわたしたちの心胆までをも凍みらせて、急げ急げとはやしたてるようです。


すっかり日の落ちた帰り路、木枯らしに吹かれてつい足早になりふとまわりを見まわすと、街を歩く老若男女も心なしか気ぜわしくなっているかに見えます。

12月、「師が走る」のには木枯らしも一役買っているのかも……と思ったのでした。


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