12 俳句(秋)


お彼岸が近いですね。

特段信心深いわけでも、死後の世界を信じているわけでもないのですが、泉下に眠る、親しかった人たちを想うことはままあります。お盆よりお彼岸のときに私がかれらを思いだすのは、彼岸花のせいかもしれません。




 曼殊沙華ゆらすは霊なら吾を訪え



<読み>

まんじゅしゃげ ゆらすはれいなら われをとえ





それなりの年数を浮世に過ごしてきましたので、これまで多くの友人・知人・家族の死に遇ってきました。思いがけず夭逝・急逝したひとも、大往生を遂げたひとも、闘病のすえに命尽きたひとも、自ら命を絶ったひとも。


畠の畦道に揺れる真っ赤な曼殊沙華。

亡くなったひとたちを常日頃おもいつづけているわけではありませんが、そんな光景を見ると思いだして、たまには会いに来いよと声かけてみたりもするのです。


冷淡なのは、さいきん夢枕にも訪れようとしないかれらの方なのか、彼岸花を見るときぐらいしか思いださない私の方なのか。

会いたいという想いもほんとうですが、それと同時に、かれらがとこしえの眠りに安らっているのなら、むりに揺り起こすのはどうか、と思いもします。

かれらの眠りが、やすらかでありますように。


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