11 短歌
秋になりました。
まだ暑さが残るとはいえ、日一日と秋の気配が感じられます。
過ごしやすくなるなと喜ばれる方が大半かと思いますが、夏好きの私としては寂しさを感じたりもするのです。
草木は夏と秋と、いずれを好ましいと思うのか。無言をつらぬく彼らがあくまで答えないなら、勝手に想像するまでです。
気おとろえ長月のすゑ嵐を得
どうぞ罰をとえだ葉ふるわせ
<読み>
きおとろえ ながつきのすゑ あらしをえ どうぞばつをと えだはふるわせ
長月は、いまでは秋の始まりですが、旧暦では秋の終わりでした。気が衰えるのは無理からぬところかも。それは植物なのか、人間なのか、はたまた――自身のことなのか。
この歌は現代短歌のつもりで、基本は現代仮名遣いです。古典的仮名遣いにしたらたぶんこんな感じ。
気おとろへ長月のすゑ嵐を得
だうぞ罰をとえだ葉ふるはせ
これはこれでアリかと思いますが、読みにくいのと、耽美に過ぎるような気がしたので――まるで頃は大正、うら
本当に詠みたかった情景は、嵐の前触れとなる風にふるえる葉が不安そうで、まるで罪の意識におののいているような、それとももはや従容と罰を受けようとしているのか……というような、そんな情景でした。
此の世に生きとし生けるもの、
現代仮名遣いにすると、耽美な大正ロマンに代わって、秋の草木の物語が皆さんの脳裏に浮かんだでしょうか。
「すゑ」だけワンポイントで残したのは、ちょっとだけ嵐の不穏な雰囲気を出そうかな、という出来心です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます