第2話 夢と現が交差する場所
「とうちゃーく!!」
地獄の補習から解放された私は、
「そんな子供みたいにはしゃぎまわるなよ、一緒にいるこっちまで恥ずかしくなるぜ」
苦笑いを浮かべながら声をかけてきた
「はん。あの地獄の補習を乗り越えてきた私に怖いものなんてないよ。あの
「はいはい、わかったわかった。俺が悪うございました」
駐車場のど真ん中でそんなやり取りをしていると、市営バスから遅れて
「ようやく補習から解放されたからって、羽目を外し過ぎるなよ? 気持ちはまぁ、分からんでもないけど一緒にいる俺たちの身にもなってくれよ」
「そーそー、私たちまで好奇の目で見られたくないもんねー」
そんな
「とりあえず早く入場しよーぜ、早くしねーと混んじゃうだろうが」
二人よりも更に遅れて私たちと合流した
「ついに来たね、モルモルランド。やっぱり雰囲気からして違うね」
「うわ~~すっごいね! 本当になんか別の世界に来たみたい~~!!」
園内に流れる軽快な音楽、あちこちから聞こえる賑やかな笑い声、コミカルな動きで来園者たちを楽しませるパークのキャラクターの着ぐるみたち。明らかに日常とは違う空気感にすっかり舞い上がった私と真美は早速二人でパークのシンボルである大きなお城をバックに記念写真を撮った。
「気は済んだか? 取りあえずなんかアトラクションに行こうぜ。せっかく来たのにほとんど並んで終わるなんて絶対に嫌だぞ」
「そうだそうだ、本番はこれからなんだからバッチリ楽しもうぜ」
遠巻きに私たちの事を見ていた
「はーー男どもはすぐ遊びたがるんだから。もっと雰囲気ってものを味わいなさいよ」
なんてぶつくさ言いながら並んで歩く
それから私たちはジェットコースターや、とある映画とコラボして話題沸騰中のお化けハウス、キャラクターたちをテーマにしたツアーなど様々なアトラクションを巡って、誰かがお腹が空いたと呟けは満場一致でレストランに向かった。
どこか不思議な雰囲気に包まれたレストラン内で、店の雰囲気とマッチした様々な料理に
食事を終え、
「もうこんな時間か」
「うわ、マジじゃん。時間過ぎるの早すぎー」
「学校だったらまだ昼にもなってないんじゃねぇの?」
「あーそれ分かる」
十分に非日常を味わい、どこかふわふわした夢心地のまま談笑していると、ふいに大悟が呟いた。
「そういえば、そろそろメインイベントのパレードの時間なんじゃないかな」
その言葉にハッとした私は、みんなの顔を見回して大袈裟に声を上げた。
「そうだそうだ! この後、パレードじゃんか! いい場所取らないと!」
すると全員、しまったという顔を浮かべてそれぞれお互いに視線を向け合い騒ぎ始める。地面に伸びたそれぞれの影がまるで波のように慌ただしく揺れてとても
「マジじゃん! えー、今から場所探して間に合うかな?」
「とりあえず各自散らばって場所探してみようぜ! スマホで連絡取れるし、いい歳して迷子になる奴いる? いねーよな?」
「こんなに人多いと普通に迷うんじゃね?」
「とにかく! 何かあったら連絡して集合すればいいだろ! はい! 解散!」
「おーい! お前らも手分けして探せ―!!」
「いやー、マジで迷子になったらアレじゃん? 俺たちの事は気にすんな!」
「そうそう、ぼっち共は個人でがんばりな―」
そう言い残し
チクリとまたしても胸が痛んだ。
「ちくしぉー……リア充共イチャイチャしやがってー……」
「まー……その、なんだ。こうなったら仕方ないな! 俺たちも一緒に行くか!」
「ちくしょー! いいじゃねえかよー! 一人でこんな場所うろつきたくねーよ!」
心からの叫びをあげる
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