宿泊

 縁談は、終わった。結婚できる方向で話は進んだ。何とも、リアンがサンライズジェネレーション次期社長になる話が持ち上がったりもした。

 そんな、仲良く食事しながら結婚について話し合っていた両方の両親だが、終わると僕らを二人きりにさせようとしてくれた。


「どうだい、ここが我がサンライズジェネレーション自慢のホテル、『ホテルエキスプレス』だ!リゾートホテルみたいに快適なのに、実際はめっちゃ暮らしやすく、Wi-Fiやパソコンなどがしっかりそろってる!旅よりは出張してきた社員さんにオススメの場所だ。だが、お前らにはここに泊まってもらうよ。リゾートに泊まるのも少しあれだしなぁと思って考えてたら、東京のここが声をかけてくれたんだよ」

 社長は生き生きとホテルの自慢を語っている。

「ところで、なんで私がリアンと二人きりでここで泊まるの?パパの家で泊まれたらよかったのに」

「いや、パパの家はダメだ。それに、結婚したら最初は二人で暮らすんだから、練習ぐらいしておくんだ」

 練習って・・・・・。めちゃくちゃじゃないか?だが、従うしかない。

「分かりましたよ」

「リアン?いいの?って・・・・・はいはい、分かった。私も泊まるから」

「なら、良かった」

 リアンとオリビアはホテルのチェックインを済ませ、部屋に入った。


「うわぁ、すげぇ」

「どうせ、パパは新社長にホテルを見せたかっただけだって」

 オリビアが言うことを全く聞かずに、リアンは布団にダイブしている。

「気持ち良いなぁ・・・・・」

「まあ、サンライズジェネレーションは元々子育てに関する会社だから、子供でも楽しめるような設計になっているから。この布団は、確か下請けのドゥ・フワが作ったもんだったはず。あの会社すごく良い素材で、良いもん作ることで人気なの」

「へぇ。よくそんなこと覚えてるな。さすが社長の娘」

「いや、そんなことないよ。本当に」

 そういうと、彼女は何やら顔を赤くして笑った。

 ――カワイイ。

 縁談は終わって、婚約してるのに、まだカレカノ時代のキュンが止まらない。


 夜が深くなってきたから、そろそろ二人とも眠る時間だった。

 二人は食堂のビールで乾杯して、イチャイチャしていた。


 それから、寝ようとしていると彼女はなにかを言い出した。

「あのさ、リアン。これまでいろいろあったよね」

「急にどうしたんだ」

 オリビアは、何かを決心したように話し出した。

「小学校でいじめられてたハーフのあなたと私。中学で奇跡的にあって。そこから、私に彼氏がいたせいで友達って関係のままで。それで、私がフラれ、色々励ましてくれて、気づけば恋人同士になってて。それで、大学の水族館で告白されて。あれはビックリしたけど、嬉しかった。それで、いっぱいデートして、今日婚約した」

「ああ・・・・・」

「ところで、私はリアンに全部話したと思う?」

 意味深な言葉を、オリビアは言った。

「どういうことだい?」

「私は、あなたに話していない秘密があるの。いつ明かそうかと思ってたけど、今がピッタリみたい」

 すると、あなたはリアンの耳に口元を近づけた。

「ビックリしないでね。私の正体は・・・・・アンドロイドなの」

「うぇぇ?!」

「うるさい。ビックリしないでって言ったじゃん。そして、もう一つの秘密。私は・・・・・魔法使いでもあるの」

 ウソだろ・・・・・どういう秘密を持ってたんだよ・・・・・。

「はぁ?! お前はアンドロイドだって?! しかも魔法使い?!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る