大陸英雄譚：再編

筆者註解

物語に登場する民族および人型生物について：概要

　エサロス島が海峡を挟んで面する展（テン）大陸には、人間および人型生物が棲息している。およそ五〇〇年の昔、エサロス島にトレクスという少年がいた。

　彼は大陸を旅し、その中でそれまでの展大陸における勢力を一変させ、また烏老（ウーリャン）の一王国に秩序と安寧をもたらした英雄として知られている。一方で人間からの評価は当時あまり芳しいものではなく（彼の行動がいくつかの国を滅ぼしかけたためである）、しかしその壮大な旅路はしばしば庶民の憧れとなった。

　本稿は、後にトレクスの旅を単なる一人の少年の旅として描いた後の時代の物語を、各種註解を加えた上で再編することを試みるものである。

　その第一段階としてここでは、少年トレクスが旅の上でいずれ関わることとなる者たちについて簡潔に記述する。