フィン・ラヴークス

エリー.ファー

フィン・ラヴークス

「異世界転生について、少し考えを聞かせて下さい」

「まぁ、なんでもいいと思いますよ。異世界転生という実現不可能な現象に思いを馳せるのは、想像力がなせる技です。素晴らしい。嫌味ではありません。心から称賛しています」

「多くの人が異世界転生をいかに楽しむかについて考えています。その点についてはどうでしょう」

「異世界転生というコンテンツの価値をいかに最大化するか。これをクリエイター側やアーティスト側ではなくて、享受する側が考えていることに意味があると考えます」

「チート能力が社会で受け入れられた背景について、意見がありましたらどうぞ」

「チート能力は言葉としての強さが先行したのだと思います。そもそも、チート能力ブームが起きる前から、チート能力を持ったキャラの異能力バトル等はありました。つまるところ、分かりやすく表現したというのが本質だと思います。名前を付けた、もしくは前々から存在していたチート能力という単語をより広めたという部分はかなり評価できます」

「無能スキルについてはいかがでしょうか」

「チート能力とほぼ同義であると考えています。多くの物語において、最弱が最強であるというのはよくある表現方法です。決して特別とは言えないでしょう。新しい単語を使うことで、内容自体に大きな変化がなくとも新鮮味をプラスするという戦略であると考えます。ただ、これは決してチート能力や無能スキルといった作品群をけなしたり、下に見るといった目的をもった発言ではありません。すべての表現方法は、似通っており、かつほんの少しの変化でも全くの別物であると言うことができます。主観的な視点から逃れることはできないものであることは言うまでもありません」

「では、異世界転生の最大の発明は何であったと考えますか」

「異世界ファンタジーと現代ファンタジーのハイブリッドジャンルを作り出すにあたり、転生という要素を楔として機能させたことです。また、そこにゲーム等の要素を追加させて、異世界転生を超越した新ジャンル、ゲーム転生までも作り出せたことでしょう」

「なるほど。ただ、そのような点で言うと前々から準じた作品は存在していたように思います」

「その通りです。これは異世界転生であるとか、チート能力、無能スキルにも言えることですが、そのことを知っている、もしくはそこに重きを置いているのが少数であることの認知の差であると考えます」

「と、言いますと」

「つまり、皆さんも、そして私も事実を知っていますが、その事実にさほど影響力がなかったということでしょう。発明という定義に認知を含めるかどうか、もしくはこの表現方法を享受する送信側、受信側の知識量を含めるかどうかによっても変わりますが、結果として市場やジャンルとしての定義が、新規性があると認めたことは事実でしょう。一つの新しい時代が築かれたことを無視して、発明がなかったとは言えません」

「うん、なるほど。そう、そうですね。まぁ、そこは多くの意見が出てくるところではありますし、発明かどうかというよりも、発明という言葉の定義についての議論の域を出ませんので。そうですね」

「続いてのテーマに移るというのは」

「あぁ、そうですね。では、続いてのテーマです」



 あのコメンテーター薄味過ぎて、ギャラ泥棒もいい所ですよね。


 あの司会のアナウンサーさぁ、言ってることマジで分かってないよね。


 

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