第十三章 ~ 目玉 ~

キウは、一眠りした。

目が覚めたら、蝋燭が燃え尽きそうになっていた。


「危ない、危ない・・。 」


と、呟きながら 蝋燭を替えた。


キウは、燃え終わった蝋燭の数で、何日経ったのかを数えることにしていた。

何分、岩の中は常に真っ暗なので、経過した時間を計算するのが難しい。

別に、気のままに生活をしていれば良いのかも知れないが、キウは目安が欲しかった。


そこで、キウは考えた。

おじいさんの家で、蝋燭の修行は いつも朝三時から始めた。

蝋燭が燃え終わるまでの修行だったので、終わるのは いつも昼過ぎの三時頃だった。

だから、火種用の蝋燭は大体、12時間ほどで燃え尽きる。

だから、キウは、蝋燭二本燃え尽きたら 一日経ったとすることにした。


ここに来たのが、夜中の 12時だった。

そして、たった今、5回目の蝋燭の交換をした。

と、言うことは、二日と半日経ったことになる。


そう言えば、修行が始まった日の昼の猪肉のだご汁を食べてから何も食べていない。

なのに、空腹感は無い。

不思議な事である。

普段は、一日何も食べないだけで、体がふらふらになっていた。


「あの、どんぶり一杯の緑色のドロドロのお陰なのかな? 」


キウは、思いを巡らせた。


「でも、あのだご汁、美味しかったなぁ~。 」


ぐぅ、きゅるるるる・・


お腹が鳴った。

キウは、急に空腹を感じ始めた。


キウは、川に向かうことにした。


提灯と、蝋燭の燃え残りを持って立ち上がった。

そして、ゆっくりと川に向かって歩き出した。


この、修行は、分からない事ばかりだ。

蝋燭の凝視にしろ、岩の中の生活にしろ、『魔』との戦いに何か役立つことを学んでいるとは思えない。

こんなことをしている時間で、もっと筋肉や持久力を付けたり、剣術や武道を身に付けたりする方がよっぽど早く強くなれる。

一日も早く、強くなりたいのに・・。

一日も早く、ハスミを助けに行きたいのに・・・。


キウの心は、乱れた。


ぐぅ~、こぽこぽこぽ・・。

よけいに、お腹が空いた・・。


川に着いた。

川に入り、蝋燭の燃え残りを放ち、そのまま、手で水をすくって飲んだ。


「やっぱり、甘い。 美味しい。 」


キウは、体全身を川の水に浸かった。

そして、しばらくその辺を泳いだ。


「ん!? 」


川の底に、不思議な形を見つけた。

二つ並んだ、宝石の様な水色の石。


キウは、手を伸ばして その片方を拾おうとした。

取れない。

キウは、もう一つの方の宝石の周りを指で引っ掻いた。

すると、その二つの宝石の表面が、ガッと動いた。

その下から、二つの目玉が現れ、ギロッとキウの方を向いた。


キウは、後ずさりして川から上がった。

そして、ランタンを持って荷物の所に戻った。

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