第十一章 ~ 洞穴 ~

おじいさんは、蝋燭と提灯をキウに差し出した。

キウは、それらを受取り、おじいさんが呪文で開けた岩の穴へと入って行った。

キウは、一度おじいさんに振り返ってから、奥の方へ歩いて行った。


「そこをまっすぐ行ったら、石清水の川が流れちおるけ・・。 」


おじいさんは、キウに言った。

キウは振り返らずに頷いた。

岩の奥は、砂で覆いつくされていた。

そして、砂は奥の方に続く道を描いていた。


キウは、提灯で道を照らしながら奥へと進んで行った。


「キウー! 良いかー! 火は絶やすなよー!!! 」


おじいさんは叫んだ。


「分かったー!!! 」


キウは、振り返らずに前を向いたまま叫んだ。

おじいさんは、キウの持った明かりが見えなくなるまで、ずっと見ていた。

灯りが見えなくなって、しばらくして、肺にためた空気を肺に力を込めて、細く力強く吐き出した。

そして、岩を閉じ・・・。


キウは、ずっと奥に進んで行った。

風だ。

空気は動いている様だ。


しばらく進むと、遠くから少しずつ水の流れる音が聞こえて来た。

だんだん、川の音が大きくなって来る。


すると、急に物凄く広い場所に出た。

提灯を上に掲げて周りを見た。

何だか、壁がキラキラしている。

近くに寄ってみた。

壁を鍾乳石に水晶の幕が張って、キラキラとキウの持った提灯の明かりを反射して、まるで瞬いているように見えたのだ。


キウは、更に奥へ行った。

少し、坂道を下がった所に、石清水の川が流れていた。


キウは、川側の大広間の中に、自分の居場所を作った。

風呂敷に入った蝋燭を降ろすと、大広間の中を散策した。

誰かが持って来たのか、筵(むしろ)の様なものを見つけたので、それを敷布団代わりに使うことにした。


キウは、敷物に座り、風呂敷を開いた。

風呂敷の中には、蝋燭と、蝋燭の受け皿、そして薄い掛布が入っていた。


キウは、おじいさんの温かさを感じた。


蝋燭を一本取り出し、提灯の蝋燭の火をつけた。

キウは、洞穴での第一回目の蝋燭の修行を始めた。

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