第七章 ~ 修行 ~
キウの修行が始まって、7日が経った。
目も、蝋燭の火を凝視するのになれた。
一番大きな蝋燭の火が燃え尽きるまでの、長時間の瞬きをしない修行にも慣れて来た。
その夜、夕飯の時、囲炉裏のだご汁を混ぜながら、おじいさんが ゆっくり口を開いた。
「あっち言う間に、蝋燭の『根の修行』も終わりじゃ。 今日の、試験も合格じゃ。 」
「え? 」
おじいさんが、あまりにも サラッと言ったので聞き逃しそうになった。
『合格? 試験って何のことだ? 』
嬉しい。
しかし、試験のこと等、何も聞いていない。
何が何の試験だったのかさえ分からない。
おじいさんは、話を続けた。
「明日からは、『仙の修行』に入る。 」
「根の修行? 仙の修行? 」
おじいさんは、キウの瞳を見つめて、少し困ったような顔をした。
「魔封士になる為には、定められた修行ば熟(こな)さなければならん。 今まで、お前がしちおったんが、『根の修行』じゃ。 こん後は、『仙』、『陽』、『心』、『浄』、『晶』、っち続く。 その先にも、上の修行があるっちいうが、わしには分からん。 」
「まだ先は長いんだ・・。 」
「何、いっちおるかい。 魔封士になれるんは、1万人に1人っち言われちおるじゃ。 なかなかなれるもんじゃないけぇ。 この先は、『仙の修行』が終わったら、魔封士の本部まで歩いて行く。 それが、『陽の修行』じゃ。 そこぢ、受ける厳しい試験が、『心の修行』じゃ。その、試験に合格した者のみが受けられるんが、『浄の修行』、『晶の修行』っちなるんじゃ。 お前の才能が認められれば、その上の修行の話しも聞くんじゃろうが・・。 わしは、選抜組には選ばれんじゃったけ・・。 お前の婆さんは、一番上の修行まで受けて、一番上の“特天”の称号をもっちおった。 」
「え・・・!? 」
「まぁ、まずは、明日から、『仙の修行』じゃ。 これが一番つらい修業になるから、心しておけ。並大抵な心持じゃ乗り越えられん。 」
「どんな、修行なの? 」
キウは、少し不安になった。
「修行の内容は、前もって教えられんのじゃ。 ごめんのぅ。 だから、明日は一日休め。 楽しむんじゃ。 この世界の美しさを心の中に刻んで行け! 」
『どういう意味だろう・・?』
キウは、おじいさんの、どこか違う様子に戸惑って、それ以上何も聞けなかった。
そして、おじいさんは、その夜は、それから一言もしゃべらなかった。
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