第2話 漢と書いて、ラブコメ

「イテテっ。アンタ、何処見て歩いてるのよ! 怪我するじゃない」


リーゼント姿のJKがその伝説のセリフを吐く。最初、顔しか見ていなかったから分からなかったけど、服装はJKだった。そして僕の学校の制服だ。

ここまでは、漫画みたいな出会い方だけど、相手は男だ。否、漢だ。


待って!

こんな事があるのか?

今は令和の世の中。奇天烈過ぎないか? リーゼントで、オネェ?

………色々、回って有り得るのか?

いや、辞めよう。

自分の理解が及ばない所を切り捨てる。駄目だ。それでは成長しない。受け入れる所から進化が始まるんではないのか?


僕は相手を見る。

短いスカート。

踝のソックス。

ローファー。

あと学生カバン。その学生カバンには、ウサギっぽいマスコットがぶら下げっている。


ここまでは普通だ。

何処にでも居る女子高校生のそれだ。

でも………スカートとソックスのむき出しになっている足。

ここが問題だ。

筋肉隆々で、蹴られたらかなり痛そうだ。象の足をサラブレッドの筋肉質にしたって感じだ。

そして顔面だ。

なんだその昭和顔? めちゃめちゃ濃ゆい顔している。一重で、たらこ唇。顎はケツ顎。もう恐怖だよ。


これを許容するのか僕。

無視して立ち去りたいけど、まだ地面に倒れ込んでいるし。

あ〜。

仕方ない。


「すみません。大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃないわよ! 何処に目を付けてるのよ! お尻が痛いじゃない! 怪我したら、どう責任取るのよ! バッカじゃないの!」


あ〜。声はめっちゃ可愛いのに。

見た目、オッサンだし。

黙っていると、その人は話を続ける。


「ってか、よく見たら、アタシと同じ高校!? いいわ! 高校に案内してよね! アンタが打つかったんだから」


さすがにこれは、逆だよね?

こんなヤツを高校に案内したら、ヤバい事になる。

スキを見て、警察に電話しないと。


続く。

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