ライトノベルなラブコメなんていい加減にしてくだい
火雪
第1話 出会い
月曜日は、嫌いな曜日だ。
火曜日も嫌いな曜日になる。
水曜日は、火曜日と同じくらい嫌いだ。
木曜日は、月曜日ほどじゃないけど、嫌いと言える。
金曜日は、この日を乗り切れば、土日が休みだから頑張って登校するけど、好きではない。だから、好きか嫌いかで、言えば嫌いと即答出来る。
土曜日はこの日が終われば、休みが日曜日を残すだけになってしまうから嫌いだ。
日曜日なんて、明日が月曜日なのだから好きなわけない。
と、全ての曜日を嫌いな僕だけど、月曜日の朝にとんでもないことが起こった。
遅刻だ。
嫌い過ぎて、起きれなかった。最悪だ。遅刻という汚点を人生に烙印される訳だ。
やれやれだ。
しかし、だからと言って、朝食は大切だ。
食べる時間が無いと騒いでも、お腹は減る。生きるとは、空腹を味わう事だ。醍醐味と言っても、過言ではない。また、空腹を満たす事も人生と言えるんじゃないかな?
ま、朝起きて、キッチンに向かうが、僕の朝食は用意されていない訳だけど。
我が家の財政状況は、母親も朝から働きに出ないと生活出来ない。と、悲壮極まる訳ではない。基本特性として母親は仕事が好きだ。働く事がストレス発散になり、生きて行けると思考する女性だ。
働く事がストレス発散。非常にユニークな思考回路だ。尊敬に値する。その恩恵で僕と妹は生活出来るので、頭が上がらない。ずっと家族して応援したい。
一方、父親の方だけど。
余り語りたくない。
父親は探検家だ。自称になるが。
収入源が不明だ。探検家で給与が出るのだろうか? 年に数回しか合わないので、確かめ様が無いけど。
さて、母親の手で綺麗に整理整頓されているキッチンで食べ物を漁る。
お手軽で、スピード重視。高カロリーで調理の手間が不必要な食料が有れば良いが、100%無い。
どういう訳か、母親は菓子パンといった砂糖の塊のような品物を購入するのが嫌いだ。
仕事マンの筈なのに、母親らしく自分の手料理のみで成人まで育てるという断固たる信念があるので、買い置きの食料はないと思った方が懸命だ。
つまり、自動的に無添加の食パンを焼く。
これしかない。
手慣れた手付きで、五枚切りの食パンをトースターに入れ、焼き上がるのを待つ。既に制服に着替えている僕は、時間を持て余していた。
遅刻なのに時間を持て余す僕は、背徳感が襲う。
もっと早く起きれたなぁ〜っと反省をしようと思った時、「チン!」と音がした。食パンがトーストされた。
軽い焼き目が付き、手に取る。パリパリと音が鳴る。その音は食欲を唆るまでオーケストラが奏でる演奏だ。
僕はそのまま、トーストを咥えて、外に出た。
決して流儀ではない。歩き食いは下品だ。誰に迷惑を掛ける訳ではないけど、文明社会で生きてる人間としては、エレンガンスに欠ける。時間に追われているのは、確かだから仕方ないと自分を納得させる。
その時だった。
十字路の角から猛スピードの何かが、僕に激突した。
僕は、突き飛ばされて、回転して地面に転がった。
かなり痛い。
予測だけど、このパターンは女の子だなぁ? そしてその娘は転校生。教室で再会というパターンという訳か。僕にも運命的な出会いがきっと来ると考えていた。それが今日だったのか。
よしよし。
では、満を持して、立ち上がりますか?
お相手は、金髪美女?
黒髪日本美人?
異国のお姫様?
「大丈夫かい………ふぇ?」
地面に転がっていたのは、バリバリのヤンキー。時代錯誤のバリバリ昭和ヤンキーだった。
そして男だった。
続く。
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