第9話-悔しそうだなオイ
「先生、私もやりたいです。」
そう言って雪の他に手を挙げたもう1人は黒木さん。
学校の美女ツートップのもう1人の人だ。何故今手を上げたのだろうか。
もしかして黒木さんって俺の事が好きなのか!?
ワンチャンあるのか!?
「ワンチャンもネコチャンもねーよ」
「うるさいぞ授業中に喋るな」
「それならお前の心の声の方がうるさいぞ」
「え?聞こえてたのか?」
「いや?全く」
じゃあなんで聞こえてたんだよ…怖いなぁ
あぁ、ちなみにこいつは隼人ね。
「そもそもお前は雪ちゃん一筋なんじゃないのか?」
「そうだけど雪と同じくらいのレベルなんだから気にしちゃうだろ」
「そうか?やっぱり海が1番可愛いだろ」
「あーうっっさ!なんも聞こえねぇ!」
お前の惚気話なんか聞きたくねーよーだ
それにしても、
「なんで黒木さんって今のタイミングで手挙げたんだろうな」
「確かにな、やりたいなら最初に挙げてるよな」
「まさか…!俺に、気があるのか?」
「かもな」
「だよな、隼人もそう思うよな!」
「いや、冗談のつもりだったんだけど…」
「なるほどお前に対して【全集中 息の呼吸】を使うしかないと」
「進次郎構文???」
「五月蝿いから喋るな」
「情緒不安定なのか?まぁ、いいか。ところでさっきの話に戻るが、黒木さんって雪ちゃんに対してライバル意識を抱いてるらしいぞ」
成程。あんま気にならないけど注目してみるとそんな感じはあるな
「なるほど?続けなさい」
「なんで偉そうなんだよ…ま、俺が知ってるのはそんだけだ」
「なんでライバル意識を抱いてるのかとか分かんないのか?」
「ま〜、多分あれだろうな雪ちゃんって運動も勉強も成績いいじゃんか」
「おう、確かに学年トップだよな」
「んで、黒木さんはいつも雪ちゃんの一個下の順位とかだからライバル意識を抱いてるんだろうと俺は考察している」
「なるほどね、納得出来ましたわ」
「それなら良かった」
今の隼人の話を聞いてる感じだと雪がやるなら私もって感じだな。
「今になって2人も立候補してくるとはな〜先生は驚きが隠せないよ」
まぁ、1人しかなれないものに2人が立候補すればやる事は勿論決まっているわけで、
「それじゃスピーチをして投票で票が多かった方にしようか」
あーあ、そうなるよなぁ、と思いながら俺は雪の方を見る。案の定、雪は絶望した顔で固まっている。それは何故だか俺はよく知っている。
改めて雪のことについて簡単に説明しよう。
雪は成績優秀、スポーツ万能、そのうえものすごく可愛いというまさに八方美人という言葉にふさわしい人だ。しかし、そんな人でも苦手なことはあるようでそれがスピーチというわけだ。簡単に言うと大勢の人の前で話すのが苦手って事だな。
いくら陽キャでも苦手なことはあるらしい。それがスピーチなのは不思議だが。
陽キャはスピーチとか目立つことは喜んでやると思ってたからな。しゃーない。
まぁ、そんな雪と黒木さんがスピーチ対決なんて事をすれば結果は既に決まったようなもので……
うん、どうやら圧勝で黒木さんに決まったらしい。
するとくろきさんは俺に近づいてきて一言。
「よろしくね、緑坂くんっ」
「えっ、あぁ…よろしく」
びっくりしたぁ、突然美人から話しかけられたらこうなるよ普通…
てかちょっと嬉しそうだな。声が弾んでる気がする。
そうしてやっと体育祭の準備が始まっていくのであった。
そして雪、悔しそうだなオイ
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