15.ビターミストの立ち上る —なみなみ—
誰かの荒い呼吸が聞こえる。
目の前には何の変哲もないコップ。誰かがそこに水を注ぐ。
なみなみとみたされたコップ。
ぱきんと割られるなにか。それから液体が落とされて、軽くまぜられる。
かんからからから。
うっすら紫色に染まる水。
男の声が聞こえた。聞き覚えがある。
おちつけ。
おちついて、深呼吸しろ。そうだ。
ゆっくり空気吸え。それから息を少し止めて、ゆっくり吐け。
くりかえせ。
よし、落ち着いたな。
じゃあ、これを少しずつ飲むんだ。
怖がらなくていい。おれたちには、おれたちなりの回復法ってやつがあるんだ。
だから安心しろ。ゆっくり飲め。
どこからともなく、うすく煙が立ち上っている。
これは誰の夢だろう?
ふと気がつくと、夢から目が覚めていた。
*
何の変哲もないコップに水が注がれる。
「よーし、お嬢様、見てろよー」
なみなみ、なみなみ。
ペットボトルの水がひたすら注がれる。
ひたひたになるまで注いだところで、奈落のネザアスは手を止めた。
何をしているのかというと、まあ、ちょっとした暇つぶしなのだ。
「ふふーん、ちようど盛り上がるとこで止めたぞー」
ネザアスは、どこからかスワロに拾わせてきたクリップの入ったビニール袋を持って、ぺしぺし膝を叩いてみる。
畳の部屋。いつもの着物を着流しにして、ネザアスはあぐらをかいてクリップをひとつ静かに沈める。水は、こぼれない。
「表面張力ってやつ。これを交代でどこまでやれるかって遊びだな。逆にギリギリまで水注ぐのも面白いんだよなー。なんか賭けをしたりしてな。結構、おれ、こういうの強いんだぞー。ハッタリかまして昔は餓鬼どもよく泣かしたなー」
なにかと大人気ないネザアスだ。
「
「こういう実験したなあ」
本当にただの暇つぶしだけれど、ネザアスの言う通り、複数人でやると楽しいのかも。スワロとクリップを交互にそろそろ入れていると、ネザアスが別のコップに水を注ぎ始めた。
自分も遊ぶのかと思っていたが、いきなり、懐からペンみたいな大きさのカートリッジを取り出す。
フジコの前では滅多に吸わないが、実はネザアスは喫煙者らしく、電子煙管をくわえているのを見たことがある。で、そのカートリッジだ。
が、ネザアスはそれをパキンと折ると、中身の液体をコップの水に流し入れる。何やら紫色な液体が入っていて、くるくるっとカートリッジで混ぜてしまう。で、そのまま口にしようとするので、フジコが慌てて止めた。
「そ、そ、そんなもの、飲んじゃダメだよ、ネザアスさん?」
「え?」
急に止められてネザアスが、きょとんとする。
「それ、煙草かなにかでしょ! いくら、黒騎士でもダメだよ!」
「ぉ、おお、いや、そのこれは」
ネザアスはちょっと困り気味になる。
「これは煙草じゃねえよ? その、サプリメントみたいなもんなんだ。吸引型の」
「吸引型サプリメント?」
「おれは、ほら黒騎士だから。前も言ったが、
「あ、じゃあ、たまに吸っているのは、煙草じゃないんだ」
「だって、おれ、黒騎士だぞ? 効くように設定されてねえ嗜好性の高い薬物とか毒物とか、だいたい効かねえよ。だから、酒はともかく煙草は全く効果ねえよ」
設定されていると効果はあるということだ。例えば、彼の場合アルコールはてきめんに効く。といっても、酔いが解消するのも早いらしいから、効いたような反応が起こるだけという感じらしい。
「餓鬼じゃあるまいし、煙草なんざあ吸ってられねえよ」
「それじゃあ、それは普段のはサプリメントなの?」
「んー、あとは、まあ、薬の類とか。おれ、幻肢痛持ちだし。錠剤の他に吸入タイプも使うな」
と、ネザアスは説明しつつ、その怪しげな水を口にしようとする。
「で、でも、それはやっぱりやめた方がいいよ、ネザアスさん。それならまだ普通に吸っている方が。味も変じゃないの?」
「味は、だって、おれは、そこまで味覚鋭くねえからな。ちょっと苦い? くらい? ま、そりゃ、吸う方がうまいけど、フレーバーついてるから、なんとなくいい感じだぞ」
そうだった。奈落のネザアスは、味覚が非常に鈍く造られているのだ。
「それに、ウィスの前で、煙草っぽいもの吸うの良くねえからよー。だったら溶かして飲もうって。昔な、煙草吸ってると、餓鬼の案内させねえってクレーム来やがって。煙が体に悪いだの、教育に悪いとかなんとかさー。おれのは煙草じゃねーのに」
ぶつぶつとネザアスは不満を述べる。
「それじゃ餓鬼の前では、それっぽいもんは吸わねえように、って決まってな。だから、おれ、お前の前でもあんまり吸ってないんだぜ」
その心がけはなんだか立派な気もするが、だからと言ってカートリッジの水割りだけはやめてほしい。
「煙草じゃないなら吸ってもいいよ。本当の煙草のにおいは苦手だけど、仕草は嫌いじゃないから」
「そうか?」
「うん。それに、それって、フレーバー、って香りついてるの?」
「おう。基本的になんかのフレーバーはついてるから、結構いい匂いするぞ。おれは味覚はイマイチだが、香りはわかるからまあまあ気分転換にはなる。あ、でも、こうやって水に溶かしても、結構いけるんだぜ。まったりしてちよっと酒っぽいというか。なお、酒と割るとさらにいい感じで、カートリッジ・カクテルって呼んでる」
「だめだよ。そんな変なの!」
フジコが強めにいう。
「とにかく、そんな変な水飲むのはだめ!」
「わ、わかったわかった」
ネザアスは根負けしてコップを床に置く。
「それじゃあ、お嬢様の好意に甘えるぜ。これからはこれはやめとくな」
「そんなもの飲んじゃうなら、それにもクリップ沈めて妨害するからね」
ぴー、とスワロが同意する。
「手厳しいなあ」
ネザアスは苦笑するが、どうやら、スワロも、前々からやめろと思っていたようだ。カートリッジの水割りとか、見た目にも厳しい。
その後は、結局、電子煙管をくわえてなにやらふかしていた。
フジコは、本来、煙草も、煙草を吸うひともあまり好きではなかったが、ふーっと煙を吐く奈落のネザアスは、妙に絵になっていて、色気があって格好良かったのを覚えている。
*
『それでは、作戦はうまくいっているのですね』
最近やたらと通話回数の多い、文月の魔女、イノアことフヅキ・イグノーアは、画面で上機嫌だった。
「ええ。イノアとフォーゼスさんのおかげだわ。グリシネからも追及されていないし、他の白騎士も疑っていないみたい」
『それは良かったですね。ふふふ、私の思った通りです』
そんならイノアがこのごろ頻繁にこうして通信してくるのは、正直、ユーネの様子を見たいから、という理由が大きい。
奈落のネザアスが初恋の相手であったイノアは、やはりネザアスによく似たユーネが好きだ。人でも不定形でも、どちらも好きらしい。
それにこの頃は。
「あ。イノア、おハよう」
朝の灯台の儀式を済ませた後。
ユーネは眠そうだが起きている。最近は、人の姿でいることが、気のせいか増えている。そういうときは、相変わらず、フード付きのパーカーを着ていることの多い彼だが。
「イノア、今日は朝ごはん、ちゃんと食べテる? ごはん、食べナイのは、ダメてきいたぞ。おレもウィスに怒られるから食べる」
「ふふ。私もユーネに叱られるので、ちゃんと朝ごはん食べますよ」
イノアは、通話しながらシリアルを食べている。ユーネは最近は、黒物質用サプリメントをあまり使わず、普通の人間の食事をする方が多かった。
最近は食事にイノアもリモート参加することが多い。
特に朝と夜。
夜型で朝食を抜きがちな、不健康なイノアのことをウィステリアは内心心配していたが、これなら安心だ。家族というか、妹分が増えたみたいで良い。
ウィステリアは、この賑やかな食事の時間が結構気に入っている。
「おレは、きょーは、パンと珈琲。ノワルも最近、ぱん、食べてる」
ユーネはそういいながら、イノアに水槽の擬似金魚、ノワルを見せてあげていたが、その声がなめらかだ。
『ユーネ、珈琲にはお砂糖を入れるのも美味しいですよ? 試して見てはどうですか?』
「さとう? あまいやつナ! イノアが言うなら試してミル!」
(本当に、急に声の歪みが減ったんだよね)
うーむ、とウィステリアは唸る。
不可思議な響きのする掠れて歪んだ声で話していたユーネだが、今も不安定に声はつぶれがちだが、ハスキーボイスという程度になってきていた。
あの日。
黒騎士ドレイクと出会った時、帰宅してからユーネの喉に傷があったのをウィステリアは覚えている。ユーネは、なんでもないから、すぐ治るから、といって詳細は話さなかったのだ。事実、その傷はすぐに治ってしまって、傷跡もわからないけれども。
(ドレイクさんと、ユーさんに、何があったんだろう?)
わかるのは、危険な気配を漂わせつつもドレイクが、結局彼に危害を加えず立ち去ったらしい、ということである。
(あのひとはどうしてこの島に?)
ドレイクは、視力を失っているようで、機械仕掛けの蝶に導かれて動いているようにみえた。そんな彼が、この灯台の島のような隔離された場所に、一人でやってくるのは大変なことだったはずだ。何か目的がなければ来ないはずなのだが。
『ユーネ、それは塩では?』
「え?」
イノアの声で、ウィステリアはユーネの方を見た。
「しお?」
見ればユーネは珈琲に白いものを入れている。もともと珈琲もたくさん入れてあったので、カップになみなみに注がれたそれは、表面張力とかいうやつでどうにか溢れずに済んでいる。
「ああ、さとうと間違えタ」
といって、ユーネはそれをそのまま口にする。
「珈琲、良イ香りだよなー」
「ユ、ユーさん? そんなの飲んで、大丈夫なの?」
平気そうなユーネに、ウィステリアは慌てて尋ねる。
「え? なんで?」
「なんで? って、塩、たくさん入れたよね?」
「しお? ダメか? さとういれたのと、あんまり変わらなイぞ。しいていうナラ、ちょっと苦い?」
とユーネは小首を傾げる。
『ウィステリア。前から思っていたのですが。もしかして、ユーネは味覚が少し変なのでは?』
イノアが悩ましそうに尋ねてきた。
「そうね。あたしも前から気になっていたのよね。ユーさん、味の表現しないのよ」
あまい、からい、しおからい。が彼にはない。
強いて言うなら、苦みはわかるらしいものの、それくらい。
物を食べた時も、おいしい、まずい、はない。まろやか、なめらか、ぱりぱり。
ユーネは舌触りや香りの話しかしない。
「ネザアスさんもそんな感じだったけど、強化兵士のひとって、そういうものなのかなあ」
当のユーネは、何が悪いのかわからない、と不安そうな顔でコーヒーカップを眺めている。なんだか、居心地が悪そうだった。
*
「味覚の変化ですか?」
定期的に様子を見にくるようになった、ルーテナント・フォーゼスが、話を聞いてふむと唸る。ユーネやネザアスとよく似ているものの、彼の方が神経質そうに見える表情だ。
「ええ、ユーさん。砂糖と塩の区別がほとんどつかないみたいなんです。フォーゼスさんは、そういうことがありましたか?」
「そうですね、私はそういうことはあまりなかったですが」
「ネザアスさんがそうだったから、その影響かなって、イノアと話していたんです」
二人が話している間、ユーネはやはり不機嫌だ。フォーゼスと同じ姿が嫌ということで、不定形のひらっとした姿になって、その辺で、瓶に入れたノワルやジャックと遊んでいる。
が、ここから立ち去らないのは、彼とてやきもちを焼いているからであり、二人を目の届くところにはとどめている。
「それに、最近、ちょっと元気がないような。いえ、明るく振る舞っているんですが、一人になるとなんだか落ち込んでいるみたいに見えるんです」
ウィステリアがそんなふうに打ち明ける。
「気のせいだといいんですが」
「なるほど。味覚……。ああ、もしかしたら」
ふむ、とフォーゼスは顎を撫でやり、それからなにを考えたのか、ウィステリアに言った。
「私が彼と話してみましょうか。すこし、心当たりがあるんです」
ウィステリアは、おもわずきょとんとする。
ウィステリアとフォーゼスの話が終わってしばらく。
ユーネは、庭の木陰で再び人の姿に戻っていた。まだ右側はまだらに黒いものの、近頃の彼は、確かに前より更に人間らしくなってきている。
「つまんなイ」
そばにはノワルを入れた瓶がある。ぼそっと呟くのは、ノワルに話をしているかららしい。近頃、ノワルをつれてくる時は、その瓶にうつしている。
「ウィス、あいつ来ると楽しそう。おれがいるのニ、なんでだろノワルもそー思うよなー」
むーっと不機嫌なユーネだが、深くため息をつく。
「おれ、ニンゲンちがうからカナ」
ユーネは膝を抱えてうなだれる。
「ニンゲン、なれたら、ウィスもイノアも喜ブと思ったノニ。声も少しキレーなったし。でも、おレ、うまくニンゲンできてないみたい。ごはん、食べてモ、あたたかい、だけしかわかんない。なんでカな。ニンゲン、難しい」
ノワルが慰めるように、水面にやってくる。
「ノワル、水槽の外出られたラいいのにな」
ぽつんと呟く。答えるようにノワルはすいーっと浮かび、うすくなみのたつ水面で彼の指をつついた。
「おれ、昔、ちゃんとニンゲンだったカわからない。だから、どうしたらイイかな。でもな、もう前みたいニハ、戻れナイし、ごはん、食べてもナニもわかンないし」
ユーネはそういうと、ため息をついた。
見上げると、木漏れ日がきらきらしていた。
「こんなに世界はキラキラなのに。なんか、つまんない。ダルい」
「ユーネ君」
と声が聞こえて、ユーネはちょっと不機嫌に顔を上げた。気配に聡いユーネは、近づいてくる人影には気づいていたのだ。
そこには、白い夏用の、白騎士の制定軍服に身を包んだフォーゼスが立っている。
ぷいっと顔を背けるユーネ。この辺りはわかりやすい。フォーゼスは別に気にしたふうもなく、胸ポケットから電子煙草のようなものを取り出した。
「ここで一服いいかな?」
ユーネは、拒否はしないがそっぽを向く。
「人前では少し遠慮しているんだ。これ、白騎士用じゃないんでな。隠れて吸っている」
そう言って、フォーゼスは少し離れたところに腰を下ろして、それをくわえる。カートリッジ式らしく、特徴的な香りなどはしなかったが、水蒸気の煙を口から吐いている。
「それ吸うやつ、ウィス好き違うゆってた。イノアも、そーゆーの悪い男多いっテ」
ユーネがじっとり睨んでそういうが、フォーゼスは平気だ。
「奇遇だなあ。おれもそう思う」
と、フォーゼスは少しくだけた口調になっていた。
「これは正確には煙草ではないが、おれも昔は嫌いだったな。煙草を吸う男は特に。似たような所作で吸入しないといけない、これも好きではなかった」
「嫌いなのニ、なんで吸う?」
「それは、おれにもわからない」
「わからナイ? なんで?」
フォーゼスは少し目を伏せた。
「これは、この姿になってから、無性に好きになったものだからな。だから、もしかしたら、元のあのひとがコレが好きだったのではないかと、思う」
「あのひと?」
「ああ」
フォーゼスは煙を吐きつつ言った。
「おれは本当は甘いものが好きなのに、これだけはビターな味わいのものが好きなんだ。これは本来は黒騎士用のサプリメントらしいんだが、今は獄卒用に流用されている。が、獄卒は下級の黒物質投与の強化兵士だ。そんなものを白騎士が使うこと自体好まれないから、隠れて吸っている。でも、不思議と調子が良くなるんだな。気持ちが落ち着くし、疲れも取れる」
「ナンデ?」
「おれが純粋な白騎士ではないからだろうな」
フォーゼスはそう言った。
「昔、あのひとに聞いたことがある。黒物質の体を保つには、それなりの栄養素が必要なんだと。それは人と同じ食事だけでは補えないんだそうだ。君もあのひとの
すっとフォーゼスは、新品の箱ごとユーネに差し出す。
「一セットあるから、これは君にやる。この間の切手の礼だ」
「これ、オれも吸う?」
ユーネは、少しためらう。
「無理して普通のひとの食事に合わせていたんだろう? 多分、おれたちはそれだけではダメなんだ。すこし普通の人間とはズレがあるからな」
ユーネは目を瞬かせ、それを箱ごと受け取る。見よう見まねで本体を取り出し、カートリッジをはめ、スイッチを入れて、そっとくわえてみる。
何故か慣れたような手つきで、すっと一息吸ってから煙を吐く。初めてのはずが、けして、咳き込んだりすることもない。
「これ」
ユーネはぽつりと言った。
「エネルギーと同じ感じすル」
エネルギーというのは、彼がかつて摂取していた泥の獣がコアに溜め込むものだ。それが彼らにとっての動力源だった。いまでは、サプリメントで代用していたが、このところ、人の生活に合わせようとユーネはそれをあまりとらないようにしていた。
「フォーゼス」
不意にユーネが名を呼んだ。
フォーゼスがきょとんとすると、ユーネが小声で言った。
「これ、確かにうまい。でも、ウィスはこういうノ、多分嫌い。ウィスには、おれ、これ吸ってたこと秘密ニしろ」
いきなり何を言うのかと思えば。
フォーゼスはちょっと笑いつつ、
「ああ。構わない。おれもこっそり吸っているからな」
「絶対、教えタラだめだ。男の約束だゾ」
そんなユーネに、ふふ、とフォーゼスが笑う。
「そうか男の約束、か」
煙に透けて、なにかを彼は思い出しているようだった。
*
ほら、お前も、これ飲んどけ。
と、声が聞こえて、目の前に出されるのは、やはりふちから盛り上がるほど液体の入ったコップ。
これ? こんななみなみにすんなって?
しょうがねえだろ。餓鬼にはおれの専用のはキツいから、水を多めに注いだんだ。これは、おれの補給用サプリメントだからな。甘口のにしたんだぜ? カートリッジの水割りってやつだよ。ふふん、おれのお気に入りだぞ。
激しい戦闘後のこと。泥だらけの彼は急速に体力を回復させるのに、吸入式のエネルギーチャージを使っている。
お前は、ゼス計画の子供だろ? だったら、おそらく、
残念だが、黒騎士を組み込まれたやつは、ちょっと体質が変わるのさ。
え、おれみたいに煙で摂りたい?
馬鹿野郎。これは餓鬼はだめなんだ。煙草じゃねえけど、管理局のクソどもがキレるし、第一まだ十年は早い。
だから、普段、餓鬼の前じゃ吸わねえんだよ。馬鹿なお前みたいな奴が、勝手に憧れるからな。
ただ、お前が大人になったら、おれみたいにかっこよくふかしていいぞ。あと、おれのは普通にビターだぜ? 餓鬼には荷が重い大人の味だ。
まあ、さ。おれみたいにかっこよくなりたかったら、まずはちゃんと無事に生き延びて、大人になれ。
上の世界はここと違ってキラキラだ。大人になって損はねえよ。
いいな。フォーゼス。これは男の約束だぞ。
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