第12話 結婚式~リナ~。

結婚式2日目はリナとタシア達、そしてメロが大鍋亭から消える。

ライブとの息子、ジェードがヤキモチを妬いたがラミィが「貴い者として受け止めますわ!」と言って世話を焼く。


その姿を見ながらライブが「うぅ…。3番目って辛いなぁ。気になるよ」と言うとアクィが姉の顔で「ふふ。楽しみに待ちなさい」と言う。

アクィは愛の証も指輪も出さずにライブに話しかけながら機嫌取りのアップルパイとクッキーを作る。


ライブはテーブルに突っ伏しながら「アクィ、どうだった?」と聞く。

アクィが意外そうに「聞いちゃっていいの?」と聞くとライブは「いいよぉ、待てないもん」と言う。


アクィは目を瞑って大切なものを取り出すように「ふふ。出産とも結ばれた日とも違う素敵な感覚。…とにかく幸せだったわ」と言った。


「それはアクィがミチトから愛されてるからじゃなくて?」

「バカね。ミチトは皆をちゃんと愛して…違うわね」


「アクィ?」

「私達が貰いきれないくらい愛してくれているでしょ?」


アクィはサミアの方角を見るとライブも一緒になってサミアを見て「うん。4人で分けてても足りないじゃなくて申し訳なくなるまでくれるよね」と言い、アクィが優しい表情で「だからキチンとライブの時はライブ用のステキな式よ」と言った。


「うん…。気になるけどミチトはイブの遠視術すら弾くんだよ?見たいなぁ…」

「全部終わったらメロに頼みなさい。メロは全部出るのよ」


この言葉に「うぅ…そうするよ」と言ったライブは足をバタバタさせて「アクィ、アップルパイまだ?」と甘えると「まだまだよ。暇ならテーブル拭いてお皿を拭きなさい」と言われていた。



ミチトはデイブの家にヒノとローサ、そして立会い訓練のノルアを連れてきてリナの化粧を任せるとメロたちの着替えの為に一度ディヴァント家に連れて行く。

ソリードは昨日のうちにサミアに泊まっていたので現地集合になる。

リナは用意されたドレスを見て「これ…私の?」と聞き、ローサが「ふふ。デザインは私が任されたけど布や糸なんかはミチトさんが作ったのよ」と言う。


リナはドレスを手に取って照れながら「確かにローサ様の所で採寸はしてるけど…着れるかな?」と言うと「ふふ。ミチトさんは凄いわよ」とローサが言う。


リナはドレスを身に纏って驚いた。

身体にピッタリフィットするのに苦しくない。


「え?これ…」と言って驚くとローサが「ふふ。羨ましいわ。ミチトさんってば大量の魔水晶をドレスに使ったからある程度なら着るだけでフィットしてくれるのよ」と説明をする。


リナは年齢のこともあるし、大鍋邸で料理をしていて釜戸の火で肌が焼けていたり油が跳ねて小さな火傷もしている。ミチトはそれの全てを跡形もなく消しているが、リナはそれでも露出を嫌っていて、ローサもミチトもそれをわかっていて首までレースで覆うデザインと腕もレースで覆っていてスカートも長い。

それなのに指先だけは指輪の為にキチンと出ている。


準備が終わったリナをミチトがメロと迎えに来る。

ミチトの本気の喜びようにローサが「…まったく、奥さん達を分けた理由ってこれじゃないかしら?」と言って、メロが「パパ…お母さん綺麗だけど差をつけたらダメだよぉ」と言う。


ミチトは真っ赤になって照れると「ごめん…。でも本当に綺麗で我慢できなくて…」と言い、この言葉にリナが照れて赤くなる。


もうこれだけでミチトとリナは十分だったが、そう言うわけにもいかずにミチトは皆を連れてサミアの教会の前に転移をする。

ひっそりとを願っての結婚式だったがどうしても産婆の産バアだけはリナの姿を見たいと言ってティナに日取りを聞いて待っていて「綺麗じゃないかい!見事だよ!」と褒めていた。

感極まったリナは泣きかけて「ダメだよバアちゃん!皆に見せる前に泣いちゃうだろ」とリナが慌てる。


産バアは「へへ…いいもの見られたよ」と喜ぶとタシア達を見て「それにリナの子達も皆元気だね。安心したよ。さあ、行っておいで」と言って送り出す。


産バアに見送られる形でミチトとリナは教会に入っていく。

先に教会に入っていたティナ、デイブ、そしてメロがこっそりと連れてきていたマテもいて3人ともリナの晴れ姿を見られて喜んでいる。

ソリードは今日も喜んでいて、そっと後から教会に入ったタシア達のお守りをしてくれている。

タシア達からするとソリードは優しいが怒らせると怖い事を知っているので大人しくしている。


神父の前で誓いの言葉を述べたミチトは「リナさん、俺…指輪を作ったんだ。貰ってくれるかな?」と真っ赤になって聞く。

メロからするとアクィの時と違う顔に呆れながらも、メロは母達に極力差をつけていないので、やはりミチトが嬉しいのもリナが嬉しいのも嬉しい。


リナは嬉しそうに「うん。ありがとうミチト」と言って左手を前に出すとミチトは照れながら指輪をリナに付ける。シンプルなデザインだがキチンと手間がかかっているデザインにリナは驚いて「ミチトがこれを作ったの?術を使わないで?」と聞く。


ミチトは「ダメだったかな?」と聞くとリナは首を横に振って「嬉しい!嬉しいよ」と言って指輪を見て笑顔になる。


指輪もピッタリとハマった事にリナは「これも術を込めてくれたの?」と聞く。

「はい。怪我した日とか腫れても痛まないようにしました」

「もう、ありがとう。ちゃんと皆のも手をかけた?」

この質問に照れ臭く笑ったミチトは「はい。差をつけないように頑張りました」と言う。



そしてリナと出口を目指す時、ミチトは「リナさん、俺の好きな色にするね」と言って深緑にドレスを染め上げて手を組んで歩く。


ミチトはもっと色んなリナが見たくて一歩歩くたびに様々な緑色にリナを染めていく。

その度にミチトは立ち止まって「その色も似合いますね!」と褒めて、リナは照れて「恥ずかしいよ」と言って歩くとタシア達は「お母さん綺麗!」と言って手を振る。


ここでリナは感極まって泣く。

そしてデイブ達に褒められて式は終わる。

ローサのはからいでミチト達はディヴァント家でご馳走を食べてから帰る。


リナのドレス姿にヨシやロウアンが褒め称えていた。

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