第3話

お、視界が開けてくる。転生は成功か?


チラチラと周りを見てみると、なにやら王宮っぽい所に居るようだ。


「やったぞ!勇者様の召喚に成功した!」

  ワアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ

驚き硬直する俺を放っておいて場から歓声が上がる


「世界を魔王から救済すると伝えられる勇者様よ…。朕はこの国の王。我が国…いや、世界を救ってはくださらぬか?無論、報酬は出させて頂く。」


The☆玉座って感じのイスに座っていた、ゴテゴテした装飾に身を包んだオッサン(王様だろう)が言ってきた。


テンプレと言えばそれまでだが、余りにも行き成り過ぎる。


「えーと、それは嬉しいんですけど、此処はどこです?」


「あぁ失敬。朕とした事が、勇者の召喚成功で浮かれておったのは朕もであったか。

この国はイシス魔導王国。主に魔法分野が盛んであるが、他の技術力で比べても劣りはしない。我が国は大国だと自負しておる。」


「なるほど。それで、俺を召喚した要件は魔王の討伐でいいんですね?」


「あ…あぁ、そうだ。話が早くて助かる。」


「質問ですが、この世界に空間と時間に干渉できる魔法もしくはスキルはありますか?あったとしたら誰が使えますか?」


「ふむ…空間魔法の事なら、この国の最高位の魔導士がようやく使えると言ったレベルか…時間魔法に関しては研究はされているが理論段階で頓挫した、伝説の魔法である。魔王でさえも使えないだろう。スキルというものはこの世の神々の加護の事であろう?それでも、概念的な物に干渉できるものはない。」


「質問に答えてくれてありがとうございます。大体わかりました」


俺はわざと淡々とした態度をとりながら内心は歓喜で溢れていた。少し演技がわざとらし過ぎたかもしれない。


ヨッシャァァァァァ!!魔王?勇者転生で一番ベタパターンだな!

それに、この世界では瞬間移動も扱えるものも僅か!

時間に至っては魔王でさえも使えないときた!

これは勝ったな、魔王を倒してハーレムを作るまで、割と時間は掛からないかもしれない。


(なんだ、結局ハーレム作りか?)


ウワッ… 天使さんの所でも脳内に語り掛けてきたけど、まだ居るのかよお前…


冷や水を頭にぶっ掛けられた気分だ。


(どうでもいいが、ここはお前さんにとってシッカリ現実だ。

今の所勇者召喚→魔王倒してね→okって言う頭の悪い道進んでるが、チットは警戒できんのかね?)


言われてみれば確かにその通り。即魔王討伐を了承など、無警戒過ぎると言われても仕方ない。


だが…


お前って何者なの?


(ふむ…俺はこの世の創造者と言っても過言では無いが…お前に語り掛けてるのは劣化分身。末端存在だからな。多少の干渉権限しか持たん。まぁ名前を言っとくとイブリースだ。)


つまり…さっきの神の加護ってヤツを授けてる存在ってことでいいのか?


(まぁ、そういうことだ。俺以外にも居るってことになってるがな)


ん……⁇ あの天使さんが居るところでも語り掛けてきたけど、あれはどこなんだ?そして、アンタはそこのトップって事なのか?


(あのモブ天使が居たところはお前らに神界。天界って言われれるところだ。

神界の事だが、ここ以外にも世界は色々とあってな。それら全てを創造し、管理し、把握しているのが俺だ。実質神界のトップだが、向こうは俺を認知しちゃ居ない。

そういう設定だからな。)


…???よくわからんが、とりあえず世界のトップって認識でいい訳か。


(その認識で良いぞ。お前に詳しく説明した所でわからんからな。

そして、チートを貰ったからって自由自在に扱えると思うな?

ある程度の努力は当然必要だ。)


うげっ…努力とかやだな……


(安心しろって。獲得経験値倍化のチートをやるから。そしたら一瞬でマスター出来る。)


マジかよ…喜べばいいのか、何でだと疑問を抱けばいいのか…とりあえず、感謝はしとくか。


ありがとな。


(ハッ!僅かでも感謝の気持ちがあるなら、俺を楽しませるんだな?)


その声から感情は読み取れない。だけど、照れ隠しであったのなら礼を言ったかいがいがあるってもんだ。


「では、勇者様。ステータスチェックを行いますのでこの魔水晶に手を翳してください。」


「ん。わかった。」


言われた通りに手を翳す。そしたら――


======================================


名前:クロノ・スパルキア・イブリース


Lv:18


年齢:16歳(固定中)


性別:男


種族:人間


称号:#H[J\Te^OE 創造神の使徒・時空間の覇者・正義の意志・博愛の勇者


加護:創造神の加護


 体力:18000


攻撃力:666


防御力:666


敏捷性:666


器用性:666


魔力量:制限解放済


潜在力:制限解放済


スキル:時空間を操る能力

   獲得経験値倍化

   潜在能力覚醒

   MP上限解放

   思考速度上昇

   超再生

   魔法適正(特大)

   物理攻撃耐性(大)

   魔法攻撃耐性(大)

   属性攻撃耐性(大)

   闇攻撃耐性(大)

   聖攻撃耐性(大)

   耐熱体質(大)

   耐寒体質(大)

   感覚補正(大)

   状態異常無効化

   精神攻撃無効化

   痛覚軽減

   +主人公補正

======================================


――なんか出た。   


名前が変わってる!?……あぁでも、転生したのなら新しい名前でも……ん?良いのか?


にしてもステータスだが……………笑うしかないな。数値は高いのかどうかはわからない。が、耐性の数が異常。それに(大)も異常…と思う。


それに、称号の謎の文字…これが最大の謎だが、まぁ良いか…いや、良くないかもしれないが、判断が出来ないからな。


あと、年齢の所、(固定化)ってなんだ?


(それは俺が固定化したヤツだな、良いだろ?これで年は喰わなくなるんだぜ?)


そ、そうだったのか…まぁ不老は普通に良いものだと思うから別に良いか。


それはそれとして、俺は時空間を操る能力しか望んでいない…これが、アイツが新しく付与したチート能力の数々か。


アイツは自分の事を末端存在とかって言ってたが…それでもこれほどまでの干渉権限を有している…本体は一体どんな化け物なのか………まぁ俺がいくらチート能力を貰おうとも絶対に勝てない存在だって事は理解出来たが。


(まぁ、所詮他人に与えられた力だからな。自分で力を得た強者には勝てないだろ。)


まぁ、そういうもんか。


「な――ッ!?体力18000に、全ての数値が666!?それにレベルが18も!?」


魔水晶の近くに居た人物が騒ぎ出した。


18000と666は高そうだが…レベル18ってそんなに高いか?



(まぁそうだな。一般的な男性の体力が20。ステータスは平均5。レベルに至っては2だからな)


…チートってのはやっぱり凄いものなのだろう。圧倒的なステータスに圧倒的な能力の数々。


称号は良くわからないから放置で良いかな。


(まぁそうだな、称号に特に意味はない。)


「「「流石伝説の勇者様だ! これで我が国は、世界は救われる!」」」


他の奴等が口々にこう言っている。悪い気はしないが…そこまでの反応するのか?


(それほど凄い数値って事でいいんじゃないか?)


まぁ俺にはこの世界の事は来たばかりでよくわからないし、それで良いか。


「勇者様。突然の召喚によりお疲れでしょう。貴方様のお部屋に案内させていただきます」


王様から耳打ちされた侍女らしき人が一人静かに案内役をすると言ってきた。


「あぁ、宜しくお願いします。」


「畏まりました。では、付いてきてください。」


俺は言われたとおりに付いて行く…が、それにしてもこの王宮?の装飾品の数や華やかさは凄まじいな。素人目にも一級品だってことがわかる程だ。


「こちらで御座います。」


「……ここまでの案内有難うございました。」


装飾品に見とれていたら反応に遅れてしまった。

しかし…俺の部屋もデカいな…あと、流石に目が痛くなるようなゴテゴテした品は無く、質素ながらも素晴らしい技術によって作られたであろう家具の数々が置かれていた。


(良し…お前、いや、クロノ。魔王討伐に行くならさっさと時空間を操る能力を完璧に扱えるようにしておくんだな。)



えっ!?急に課題を出されても…それに暴発したら危ないと思うし…


(ならこの部屋では時間停止からマスターしていけ。感覚補正が掛かってるからすぐマスター出来る筈だ、多分。)


多分て…やるしかない…か…これも魔王を倒し、ハーレムを築くため!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


うん…なんとな~く。こうかな?って思ったら止められた。

チート能力は偉大だと思いました まる



◇◇◇◇◇SIDE:イブリース◇◇◇◇◇


(ただの一般人に能力を与えたが…どこまで行けるか見ものだな…まぁ精々、俺を落胆させ無いなら良いか。これも一種の暇つぶしだからな。)


アノスの認識を外し、独り言ちる…原作者代理人にして創造神≪イブリース≫は…果たして善神なのか、悪神なのか…


(悪も善も主観的なものだろう?人の数だけ変わるのならば、最早ソレに意味など無い。もっとも、絶対的な悪。悪の具現化。終焉の意志は別だと思うがな。

少なくとも、この小説ではそうそういうことにしているよ。)





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