⑤惚れていくのにも段階があるのでは?


 もっと理解出来ないのは、ラブコメである。夜な夜なアルバイトを頑張る姿をクラスのマドンナが見かけて、それだけで気に入られているストーリー展開があった。私はその構成を全く理解出来なかった。もし仮に、主人公の印象がなんの取り柄もないヤンキーだったとして、そのアルバイトが実は妹の学費を稼ぐために頑張っており、なおかつマドンナ側もそういう真面目な人がタイプであれば成立するだろう。しかし別にそんな描写も示唆も説明も無い。それに、夜な夜なアルバイトを頑張る姿を見かけた際の人間の心をきちんと考えた時に、本当にそこで好意を持つだろうか。まずは「へえ、案外真面目なところあるんだなぁ」と評価の変化が最初なはずだ。となれば物語の流れとしては「主人公を見直す」→「気になる」→「好きになる」のステップがある。それをすっ飛ばして、いきなりヒロインが赤面するのは如何なものだろうか。


 見直すというパターンの他に、主人公がちゃんとカッコいい場合もある。学園コメディー漫画の『コミさんはコミュ症です』では登場する只野君は本来ツッコミ役なのだが、とんでもなく気遣いが出来る。内面にもちゃんと惚れ込む理由があるのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る