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 痙攣しながら目を瞑っているアールは、痙攣をせずに目を開けている時のアールよりも遥かに扱いやすかった。

 部屋の隅に寝かせて、寒いといけないので近くにあった青いビニールシートを全身に被せておいた。

「ウメハラ。なんで、こういう真面目な女の子が騙されちゃうんだろうね」

「きっと、アールはそういう人をほおっておけないほど優しいんですよ」

「ウメハラって、面倒な話の時はとりあえず誰かを褒めればすぐに終えられるって思ってるよね」

 もう、私の言葉を正直に受け取ってくれる人は地球上に存在していないんじゃなかろうか。

 その時、扉が開いた。

 入ってきたのはモチよりも背が高く、サングラスをかけた白いシャツの男だった。

「へぇ、お前らってここにいたんだ」

 モチがこちらを見る。どうやら、この男に心当たりがないようだ。私は男をまじまじと見たが、頭のどこからも手がかりが出てこない。つまりは、私にとっても初対面。

「申し訳ないのですが、どちら様でしょうか」

 男がサングラスを外して、私とモチを睨む。

「神様だけど。何か」

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