第3話 下釜野乃花 



 警察から、もう少し話が聞きたいと言われて、また、この殺伐とした取調室に呼びだされた。

「白鳥さんとはどのような関係性だったのですか?」

「ただの同僚です」

「富川定食屋でも、一緒に食事をしていたと聞いたいるのですが。」

「彼女が勝手に付いてくるんですよ。一緒に行っているわけではありません。」

 同じ話を何度も聞かれて、野乃花は滅入りそうだった。ただの自殺なのだから、野乃花には関係ない話だろう。

「そうですか。では、白鳥さんのことはどう思っていましたか?」

「何とも思っていません。こっちは聞いてもいないのに、ずっと話す人でした。まあ興味もない話をずっとされて迷惑でしたね。」

「そうですか。彼女が性犯罪に巻き込まれいたことはご存知ですよね」

「はい、知ってますけど。それって私に何の関係があるんですか?」

「下釜さんの恋人である山田光也の友人である品山哲から、被害にあったと聞いています」

「そうみたいですね。でも私が紹介とかしたわけじゃないですし、たまたま、富川定食屋に、品山くんも来ていて、知り合ったみたいですし。私には関係ないですよね」

「そうですか」

警察の疑いの目がずっと、野乃花を睨みつけている。なんでこんなことになったのだろう。


警察署を出ると、恋人の山田光也が車で待っていてくれた。車のドアを開けて、乗り込んだ。

「大丈夫だった?」

「うん。大丈夫だったよ。まあ、同じ質問ばかりで、しんどかったけど」

「なあ、あの子って、ちょっと変だしな」

 あの子と言われて、野乃花が頭がすぐに出てこなかった。

「ごめん、白鳥果歩のことだよ」

「白鳥さん?」

「うん、そう。なんかストーカーみたいだったよな」

「ストーカー?誰の?」

「野乃花だよ」

「えっ、そんなことはないよ。嫌がらせとかされたことないし。同性同士でストーカーとかあるの?」

「まあ、聞いたことはないけど…」

 まあ、なんでも野乃花の真似をしていた気がする服装も小物なども、似たようなものを持っていた。でも、ストーカー行為のような、無言電話とか、家まで着いてくるなどの嫌がらせのようなことはされたことはなかった。

「まあ、いいけど」

「何?なんか他に言いたけだね」

「あるけど、いいや。あと、哲も警察に呼ばれたみたいだよ」

「ふ~ん。品山くんが…」

「哲に聞いたんだけど、性行為って同意の上だったって言ってるんだよね」

「うん。でも白鳥さんは違うって言ってるでしょう。」

「まあ、そうなんだけど」

 光也はのらりくらりと言っていて、野乃花には本当に何が言いたいのか言いたいのか分からなかった。それに答えてくれない気がした。

「どっちかが噓をついてるってこと?」

「う~ん。なんか、そんな感じでもない。」

「何それ。もういい。光也が何が言いたのか分からない。」

「だよな...俺も分からないわ。哲のことも心配でもあるし、野乃花もそうだけど、何もしてあげれないから。助けてあげてたいんだど、ごめんな。」

「いいよ。別に。警察は光也が何を言ってもかばっているように見えるんだろうしね。」

「そうだな。かばってるんだよね」

 光也といるのに、白鳥果歩に振り回されている感じがして気分が悪かった。

 



 

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