風に揺れる木の葉
獣道とまでは言わないものの、主な山道からは外れた整備のされていない道を、軽めの服とサンダルで小一時間ほど登ると少し開けた所についた。
しかし、そこに向日葵は無くてただ草が生えているだけだった。「ここ?」と日向に尋ねても「ここ、なのかな……」とよくわからない様子だった。
「向日葵……ないね」
そう私が呟くと、日向は――ふぅ。とひとつため息をついて地面に寝ころんだ。
「つかれたぁ。あおも寝てみたら? 気持ちいいよ」
そう言った日向の顔は楽しそうだった。向日葵は無いけど、日向は笑ってた。それを見て私も、笑ってうなずいて寝ころんだ。少し湿った土が冷たくて、静かな自然の音に包まれているのもあってか、思いのほか心地いい。それは蝉の鳴き声、風に揺れる木の葉、たまに鳥が木にとまる音やその鳥の声なんかも。
――静寂。
そんな二文字が似合う場所だなと。そう思いながら、聞こえる音を数えながら、私は自然と目をつぶった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます