第12話 夏休みにしたいこと&花火大会へ!

「夏休みにしたいこと、ですか?」


「うん」


ゲーム大会も一段落ついたので、夏休みに何したいか聞いてみた。


一ノ瀬さんは、俺の発言を聞いて「そうですね……」と言いながら考えはじめる。


「……優希くんがいるなら、どこに行っても楽しいですから、優希くんの行きたいところに行っていいですよ?」


「そ、そう言ってくれて嬉しいよ」


 ナチュラルに嬉しいことを言ってくれる。

なにか思い付いた風な表情をして、デレてる(?)のは不意打ちが過ぎる。


俺が行きたいところか……どこに行こうかなー。

 夏と言えば……?


 夏祭りとかいいかな……!

 海もいいけど、ちょっと提案しづらいしなあ。なんだか目的がバレバレのような気がして。


「夏祭り、行きたいなあ」


「楽しそうですね」


「ここらへんっていつあるんだろ?」


「今度の週末に花火大会があって、そこでは色んな屋台とか出るそうですよ」


「そうなんだ、よく知ってるねー」


ここらへんの夏祭り情報まで知っているとは……。

博識ぶりに驚いていると、一ノ瀬さんは続けて言う。


「優希くんと行きたいなと思ってたので、先に調べてました」


「そ、そっか」


 女子と夏祭り一緒に行くのも初めてなのに、俺と行きたいって宣言されてしまった。

 たぶん今、顔めっちゃ赤いよ。。


「じゃあ、夏祭りは決定だねー。

 一ノ瀬さんの浴衣見るの楽しみだなー」


「た、楽しみにしててください!

 可愛いって言ってもらえたら……嬉しいです」


 最近2人とも自然と互いにデレすぎて、基本どっちも恥ずかしくなってる。

 今もやばい。

 お互いの顔を見れない。。。


……試しに一ノ瀬さんの浴衣姿を想像してみる。女の人の浴衣姿をまじまじと見たことがないけど、一ノ瀬さんは間違いなく可愛いはずだ。

いつもの私服姿とはまた違った魅力があるだろうな。 わたあめとか持っててもらいたい。


……また俺の意識は遠のいて行ってしまうところだった。


「あ、あとどこ行こうか……?」


「そうですねー……またお泊まりしてもいいですか?」


「いいよー、いつでも」


「ありがとうございます!」


毎日でも大丈夫だよ、と言いかけた。俺はほんとにいつでも大丈夫だけどね!

こないだ一ノ瀬さんが泊まっていってくれてから、少し1人が寂しくなったのはあります……。


「あと……海はどう?」


「夏といえば」の最強カード、ここでドロー!

やっぱり海行きたい欲は抑えられませんね、てへっ☆

……2人で海ではしゃぎまわるのを想像して、ついついテンションがおかしくなってしまった。



「ええっ!?」


一ノ瀬さんは想像以上に驚いて、顔を赤くしてあたふたしている。


「……え?」


「ま、まだ見せられる身体と心の準備が出来てないので、来年までに鍛えておきます」


一ノ瀬さんは、自分の体をふにふにと触って確認しながら言う。


(何を鍛えるんだ……?)


 もともとスタイルもいいのにな。


 まあ本人が今は行きたくないのならしょうがないか。


 ……いま、来年って言ったよね!?


 来年もこの幸せな生活が保証されました!

 おめでとう!!

 心の中でガッツポーズをする。


「あ、遊園地はどうですか?」


「おー、いいね、1時間かからないで行けるとこ何個かあるね」


「あと水族館も行きたいです!」


「おー、そうだね!」


一ノ瀬さんはたくさん案を出してくれる。

 ザ定番デートスポットにたくさん行けるみたいだ。


「あと回るお寿司を見てみたいです……!

 新幹線に乗ってお寿司がやってくるんですよね?

 見たことないので、どんな感じなのか気になります!」


「おっけー、行こう」


 というわけで今年の夏休みは

 花火大会

 遊園地

 水族館

 の定番デートスポットと

 回転寿司(?)に行くことになった。


 一ノ瀬さんと過ごすこれからの夏休みが楽しみだ。



もう週末がやって来た。

 今日の花火大会は近くの河川敷であるらしい。……人多そうだなー。


「午後4時に駅前でいいですか?」


「いいよー」


 即返信。

 早く夕方にならないかな。

 あと7時間ぐらいあるじゃん。長いな。


 ピンポーン。

 インターホンが鳴る。


(なんか頼んでた?)


俺はバタバタと玄関へと走って行く。


「夕方まで暇なので、来ちゃいました」


 一ノ瀬さんは聖女のような微笑みを見せて、そう言ってくれた。


「まじか……!」


「……迷惑でしたか?」


驚きのあまり玄関でフリーズしている俺を見て、一ノ瀬さんは心配そうに聞く。


「いや、そんなことはないよ。来てくれて嬉しい」


「私も早く優希くんに会いたかったです!」


 最近の一ノ瀬さんのデレ、可愛いがすぎる。


「じゃあ夕方お腹空くように早めにお昼食べませんか?」


「それがいい」


 というわけで料理長一ノ瀬さんの昼食作りが始まる。

 この頃は俺もある程度手伝えるようになってきた。

 レベルアップを感じる……!


「その玉ねぎ切ってもらえますか?」


「おっけー」


 正直まだ目の痛みには慣れんが。ゴーグルつけて玉ねぎ切りたい。。。


 そしてご飯と切った野菜たちを炒めていく。

 これはチャーハンだな。

 料理の名前もわりと分かってきた。

 経験値積んできたので。


※まだ1人で主食とか主菜とか揃った料理作ったことはないです。


 塩コショウで味付けして完成。


「「いただきます!」」


 やっぱり美味しい。


 一ノ瀬さんの作る料理は俺専用なんじゃないかって言うぐらい俺の味覚にジャストミートしている。


「美味しい!」


「ふふっ、そう言ってもらえると作りがいがあります」


 俺も今度その作りがいを味わってみたい。


 もっと練習して一ノ瀬さんに料理食べてもらえたらいいな。


この感じだと、あっという間に花火大会の時間になりそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る