第二部完 レイシアは2年生に向かって突き進む

 残り少ない冬休み。レイシアはクリシュを可愛がり、温泉に通いまくり、夏祭りの企画を練り、そして、2年生から強制的に参加させられる事となった貴族クラスに向けての対策を考えていた。


「貴族コースは未知の世界です。先生」


 相談されたバリューもため息をついた。


「私も女子の貴族については教えられないんだ。まったく興味がなかったからな」


 お父様にも聞いてみた。


「分からん」


 そうだよね、とレイシアはあきらめた。


 法衣貴族の奥様方から情報を得ようとしたが、どこまでも噂とゴシップレベルの話しか出てこない。そう、上級貴族は法衣貴族ごときに貴重な情報となる自慢話すらも与えることはない。その程度の情報操作が出来なければ貴族としては社交の一つもこなせない役立たずの烙印を押される。


 男性陣は当てにならない。

 始まる前から詰んだ。


 レイシアが相談できるとすれば、オヤマーの祖父母かシャルドネ先生しかいない。


 どっちも無理!


 お祖母様には近寄りたくない。

 シャルドネ先生は? たぶん違う。貴族女性の授業向きとは思えない。


 でも、先生に相談するしかないのかな?


 レイシアはそんなことを考えなければならないほど、貴族コース、未知なる貴族女性の世界に不安を覚えていた。



◇◇◇



 そんな中、見習い神官のマックスの送別会が教会と孤児院の主催で行われた。

 孤児たちは聖歌を歌い、レイシアは御馳走を作り、みんなでマックスの出世をお祝いした。お別れを惜しみながら。バリューはマックスに、大切にしていた本を記念に手渡した。



「私、マックスは、ターナー領のアクア教会に派遣され、この地で本当の信仰を得ることが出来ました。わが師バリュー殿には心からの忠誠と感謝を捧げます」


朝の礼拝で、マックス神官見習いは、涙を流しながら別れの挨拶をした。


「さあ、今日も一日すこやかに過ごしましょう。はいっ」


   ♪チャンチャラチャチャチャチャ


 そして今日もスーハーが行われた。晴れた空の下、大勢の信者が息を吸っては吐く。

 この素晴らしい儀式を、オヤマーでも広げよう。いやオヤマーだけではない。王都でも、いや大国全ての教会で『神の息吹スーハー』が行われるようにしよう。それが私に課せられた使命だ。


 そんなことを勝手に思い込んでいた。


 出発の時間が近づく。


「最後に、わがままを言ってもよろしいでしょうか?」

「なんだ?」

「もう一度温泉に入りに行ってもよろしいでしょうか」

「……行ってこい」


 温泉につかりながら、ターナーを離れたくないと涙したマックスは、一時間遅れて出発することになったのは仕方のないこと。

 マックスは馬車の中で(明日から、冷たい風呂しか入れないのか)と思いながらため息をついた。



◇◇◇



 学園に帰る前日、レイシアも温泉に別れを告げるかのように入り浸っていた。


「はあ~。やっぱり温泉は最高ね」

「レイシア様。長湯しすぎですよ」

「いいじゃない、サチ。今日でしばらく入れないんだから」


 明日からまたターナーを離れるのね。クリシュとも、お父様ともしばらくお別れか。そう思ったら、寂しくなってきたレイシアだった。


 午後からクリシュの企画するお別れ会が始まる。クリシュも立派になったわね。そんな感傷を振り払うように、ザバンとお湯から出たレイシア。


「こんな顔を見せちゃだめよね。サチ今日はあなたもゲストよ。一緒に楽しみましょう」


 大きく深呼吸をして、脱衣室に向かった。




 翌日、レイシアは旅立った。残されたクリシュはいつまでも見送りながら、(夏に帰って来た時は、お姉様が驚くくらい強く、賢くなろう)と決意するのだった。



         第2部 完







………………………………あとがき.……………………



 学園生活を2部でまとめようと思っていましたが、あまりにも長くなったので、学年ごとに分けることにしました。ここまで263話、46万字以上。なんでこうなった?


 本当に・・・1ヵ月もかからずに終わると思って書き始めた処女作。どうしてこんなことに! こんな長い期間、毎日投稿するなんて知っていたら書かなかったのに!

素人の甘い見通しはとんでもない大作になりました。




 はあ—————。疲れました。




 それでですね。ここで一回長期休みとってもいいですか? いや休む!

 はい。休むと読んでくださる方が激減するのは、シンプル創作論で実験済みです。知っています。楽しみにしている方をがっかりさせるのも心苦しいです。


 でも! リアルな生活が執筆に侵食され過ぎているんです!


 子供の春休みが終わるまで、休んでいいでしょうか?

 今後の展開も、予想外に貴族コースに行かなければいけなくなってどうしようかと頭を抱えているんです。


 休ませて~!


 エタりません! 必ず復帰します! 4月になったら第3部始めます! まだ本編に入っていないと言っても過言ではないんです!

 これから、特許も取らないと! ヒロインのアリアも出さないと! 王子のプロポーズも! 書かなきゃいけないことだらけです。


 キャラの暴走に振り回されていっぱいいっぱいです。


 今後の展開、ゆっくり考えさせてください。

 よい作品作りのために。今後のために。





 長期休みにするので、1回完結ボタン押しますが、必ず復帰します!

 それまで、お待ちください。


 みちのあかりでした。

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