終わった

 翌日、領主と騎士団長とククリが改めて話し合い、大体ククリの構想でまとまった。ククリはそれまでの経緯を書いた書面にサインをし、証拠として領主が保管することとなった。領主はククリに学園の教授として推薦・身元保証をする書類を渡した。教師として貴族の身分になるためには、身元の保証が必要になる。領主レベルの保証が2枚は必要なのだ。


 村では、ホワイトベアの加工が始まった。解体の中心はゴート。内臓、特に『熊の胆くまのい』は貴重な薬になる。傷つけないように慎重に解体をした。それを熱心に見ているレイシア。ゴートはレイシアに一つ一つていねいに教えながら解体を続けた。


 熊の胆、魔石など、貴重なものは黄昏の旅団が持ち去る。とくに魔石は討伐の証拠として重要品だ。学園で一度見せてから王都のギルドに卸すつもりだ。そこからオークションへ行く流れだ。


 肉と皮は村で加工され高く売れる事だろう。高齢者と女性が中心となり加工している。若い男たちは、森の見回りに駆り出される。本当に安全なのか。獲物の分布はどのくらい変わったのか。今後のためにていねいに調べることが必要だった。


 そうして一日が過ぎ、村が復興に向けて動き出したのを確認した黄昏の旅団とレイシアたちは、翌日の朝教会で祈りを捧げスーハーを行った後ターナーに向けて出発した。


 人々の感謝の歓声をその身にいっぱい浴びながら。



 長い長い帰路をたどり、レイシアたちはターナー領に着いた。領に入るとレイシアたちを見つけた孤児が、教会に駆け出して知らせに言った。


「お姉様、お帰りなさい!」


 クリシュがレイシアの元に駆けつけて抱きついた。


「クリシュただいま」


 そう言って、クリシュを抱きしめた。レイシアは(やっと帰って来たんだ)とクリシュを抱きしめながら感慨にふけった。


 クリシュと一緒に館へ戻ると、レイシアが戻ってきたと連絡を貰っていたお父様と使用人たちが門の前に並んで迎えようと待っていた。


 レイシアは大きな声で「ただ今帰りました」と言うと、「無事で良かった。よく帰ったレイシア」とお父様が感極まった声でレイシアをほめた。


 レイシアは、本当に帰って来たんだ。やっぱりこのターナー領が大好きなんだ。お父様もクリシュも大切で大好き! と心の底から思っていたら自然にうれし涙が流れていた。




(特に章分けはしていませんが、ホワイトベア討伐編終了。後で章分けするかも知れません。今日は短いですが、締めなのでここまでです)

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