冒険者ギルドにて
(連絡 昨日の投稿は、ミスで前半消えていました。再投稿しましたのでご確認下さい。)
翌日、レイシアとクリフトは冒険者ギルドに出向いた。ギルドでは、まさか領主が来るとは思ってもいなかったので、職員一同騒然となった。
「ああ、そんなに気を使わなくてもいい。娘に付いてきただけだ」
クリフトは気さくにそう言った。そうは言っても領主は領主。すぐにギルド長の部屋に案内をした。
◇
「ところで、なぜ指名依頼の件でギルドが私の娘を呼びだすんだ?」
クリフトがギルド長にたずねた。
「はい。レイシア様とサチ様は、ターナーの冒険者ギルドでもトップクラスの実力をお持ちです。それは
「そうなのか?」
「そうですよ。ねえサチ」
「そうですね。冒険者としては強いほうかと……」
サチは、(メイド長とコック長が組んだら負ける気しかしないな)、と心のなかで思った。
「冒険者としては?」
「冒険者としては、お二人が組めばBランクでも問題ない実力です」
クリフトは、レイシアががそこそこ強いとは思っていたが、そこまでとはと今更ながら驚いていた。父の眼からするとかわいい娘。親ばかフィルターは、実力を良い方にも低い方にも好きな方に見誤るのはどこの家も同じだった。
「そうなのです! ところで領主、最近クマデ領の山際にホワイトベアが何頭も出没しているのはご存知ですよね」
「ああ。食料と医療品、それから衛兵をいくらか派遣したが、それが?」
「冒険者ギルドへも応援要請が来ているのですよ。直接戦う訳ではないのですが、衛兵を進ませるためのお手伝いとか人手がいるのです」
「そうだな」
ギルド長は、説得にかかる。
「しかし、ターナーには現在Eランク以下の冒険者しかいないのてす。なにせ冬ですから。しかしそこに、王都から『黄昏の旅団』のメンバーが立ち寄る。しかもクマデに向かうと言っているんです。彼らは俺もよく知っている冒険者達です。駆け出しの頃さんざん世話してやったからな。信用できるパーティだ。おっと言葉が雑になりました。領主様、そのパーティにレイシア様を混ぜてターナーからの派遣としたいのです」
「他にいないのか?」
「初心者の町ですので……」
ギルド長はため息をついてから言った。
「平和なのは良いことなんですよ」
「分かってはいるが……人材不足か」
「レイシア様とサチ様だけでも他には負けない戦力です」
領主として判断すべきか、父親として判断すべきか、クリフトは悩んだ。
「私なら行ってもいいですよ。ねえサチ」
「レイシア様が行くというのでしたら、私もついて行きましょう」
隣に控えていたサチが答えた。
「おお、お二人でかかれば、ホワイトベアくらい倒せそうですな」
「やめてくれ、怪我させたくないんだ」
クリフトは父親としてレイシアを心配した。
「とにかく、その黄昏の旅団とやらと話をしてからだ。その後に許可するかどうか決める。いいなギルド長。レイシア」
「分かりました。領主様」
「はい。私も詳しいことを聞きたいです」
レイシアとギルド長が了解をし、ここでの話し合いは終了した。
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