突然の訪問者
レイシア達は日々充実していた。メイド修行をやり直したり、クリシュと狩りに行ったり、新作料理を研究したり、孤児院で勉強を教えたり。神父はレイシアの魔法の研究を始め、サチは報告書の書き方を勉強させられた。クリシュはお姉様べったり。孤児院では法衣貴族の子供たちにお姉様の素晴らしさを
そんな中、立派な馬車が教会の前に着いた。
馬車から降りた女性は、近くにいた孤児に声をかけた。
「ここにバリューと言う神父はいるかな」
孤児は「神父様ですか? こちらです」と、女性を案内した。
◇
「元気にしている? バリュー」
「シャルドネ先生⁉」
そう。女性はシャルドネだった。
「お前、ずいぶん好き勝手にレイシアを育てているみたいだね。おかげで学園長から視察するように言われたんだよ。まあ、私としても馬鹿弟子が何やらかしてるのか気になってな。いろいろ聞かせてもらうよ。バリュー」
「学園長? なぜ学園長がわざわざ」
「今の学園長は、シャンパーニだよ。お前と同期の」
「そうですか。彼が学園長ですか」
「ああ。今学園を改革しようと必死になってるよ。だからお前がレイシアに何をしたのか気になって仕方がないみたいだな。ヤツも来たがっていたが、忙しくてそうもいかなかったようだ」
「そうですか」
「会いたがっていたぞ。バリュー」
「そうですね。懐かしいな」
バリューはゼミで学んでいた学生時代を懐かしく思い出していた。
◇
「この手紙を領主様に届けて下さい」
バリューは神官のマックスに手紙を託した。学園長の代理でシャルドネ先生が来ていること。レイシアの今後について話し合いが必要な事。領主の館にゲストとしてしばらく泊めてほしい事などが書かれた手紙だ。
「まったく……先触れくらいしてくださいよ。先生」
「素の状態が見たいんだよ。よそ行きでない普段の感じがね」
「はぁ。では参りますか」
バリューはシャルドネを連れて孤児院に向かった。
孤児院では、クリシュが孤児たちに勉強を教えていた。
「あ、神父様」
「ああ、少しお邪魔するよ。こちらは学園の先生でシャルドネだ。レイシアの先生だよ」
「お姉様の!」
「先生、こちらはレイシアの弟のクリシュ。次期領主として頑張っています」
「よろしく、クリシュ」
「よろしくお願いします。シャルドネ先生」
クリシュはていねいに挨拶をした。
「レイシアは?」
「お姉様は、料理長と食材の調達に行くと言って出かけました。いい包丁を手に入れたとかで盛り上がっていましたから、多分狩りに行ったのだと思います」
「そうですか。では、私達は見学をしますから、いつも通り授業をして下さい」
「はい」
授業を見たシャルドネは、孤児たちの、そして教えているクリシュのレベルの高さに、言葉を失ってしまった
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