閑話 僕のお姉様 レイシア11歳

 僕のお姉様はすごい。何でもできる。こんな感じだ。


 月曜日から金曜日。お姉様は、お日様が出る朝5時に起きているみたい。メイド長と1時間くらい歩き方の訓練をしているらしい。


 6時からは朝食の仕込み。おいしいごはんを作ってくれる。


 7時になると僕を起こしにくる。お姉様は部屋に入ると、「ん〜〜〜。クリシュの寝顔。天使。天使よ! もお〜どうしましょう? そう。私も一緒に……」と言ってベッドに入ろうとする。いつもあわてて起き上がるのだけど、もうちょっと違う起こし方ないのかな?


 7時半から食事。お姉様は僕の隣で一緒に食べる。


「おいしい? はい、あ〜ん。まあクリシュ、かわいいわ。ニンジンも食べるのよ〜はい、あ〜ん。そうそう、えらいわ。いっぱい食べで大きくなるのよ」


 自分でできるからやめてよって言ってもやめない。僕は諦めて口を開ける。あ〜ん、もぐもぐ。


 9時半になると、お姉様と一緒に孤児院にいくんだ。今は二人で歩いていく。ヒトデと言うものが足りないらしい。お姉様は、僕の手を離さないようにギュッとにぎって一緒に歩く。


 10時から、僕は勉強を始める。お友達いっぱいいるんだ。たまにお姉様がみんなに勉強を教えてくれる。でも今日は図書室で難しい勉強してるみたい。でもその前に、お昼ごはんの仕込み、チャチャっとやるんだって。よくわかんないけどすごいね。


 お昼ごはんはみんなと食べる。も〜お姉様。ここでは隣りに来ないでって言ってるのに。あ〜んはしません! 絶対。


 孤児院や教会のお掃除とか、いろんなお手伝いをしたり、遊んだりして2時に帰るの。たまに温泉に寄ったりするよ。たま〜にお姉様は、飴とか串焼きとか僕に買ってくれる。嬉しい。も〜。食べてる顔そんなに見なくていいから。


 お姉様は、帰るとすぐに調理場へ行くかメイドの所に行くんだ。忙しそう。僕は一人になって部屋で遊んだり庭に出たり。


 5時夕食。お姉様は僕にあ〜んしながら、お父様と難しい話を始める。りょーちけいえい、とか、かこうぎじゅつ、とか、はんばいるーと、とか。よく分かんない。


 7時頃になると暗くなり始める。真っ暗になる前に、お姉様は僕の部屋に来て、絵本を読んでくれる。「ファンタジーみたいにライトの魔法とかがあれば、夜もクリシュと遊べるのに」とか言うけど、なにそれ。夜明るくなるの? すごいね。真っ暗になると僕は寝る。お姉様は、その後お父様とお話ししたり、メイド長と暗闇稽古とかいうものをやったりしているみたい。お父様の部屋だけ明るくなってるけど……おやすみなさ〜い。zzzzz



 土日は孤児院での勉強はお休み。お姉様は朝早く起きて、たまに、料理長達と買い出しに行ったり、食材収集に行ったりするみたい。行かない時はメイドの稽古をしてるそうだ。


 7時に僕を起こしに来る。今日は先に起きていたら、「つまんない。でも一人で起きられてすごいわ。さすが私の天使」とほめられた。ん? 天使?


 ごはんを食べ終わったら、お姉様は食堂の片付けをメイドさん達としている。僕も手伝おうとすると、「未来の領主はそんなことしなくていいのよ」と断られた。何をすればお姉様は喜ぶのと聞いたら、「いるだけでいいのよ」と答えられた。役に立ちたいんだけどな。


 お姉様は、お父様と領地の視察にいったり、神父様と勉強したり、料理長と狩りに行ったり、メイド長と特訓したり。土日はホントに忙しそう。


 夕食を食べた後は、僕と二人で遊んでくれる。お姉様の癒やし時間だそうだ。ペタペタ触ったり、頭撫でたり、スキンシップというやつをしてくる。お姉様は僕が大好き。僕もお姉様が大好き。ずっとこうしていたいな。

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