第11話 ワームのアスワムちゃん
僕が2体目の従魔を得た頃、街に戻ったベアトリクスさんは・・・・
《ベアトリクス・ノーテルマンスの街》
【は、恥ずかしい!】
街に戻ったベアトリクスは、冒険者ギルドのトイレで悶絶していた。
青いスライムに突然襲われた・・・・と思い込んでしまったために失禁、その後意識を失ってしまった。
失禁した所まではしっかり覚えており、その後起き上がった時に意識を失っていた事を悟った。
起き上がった時に、自身の変化に気が付いた。
妙に全身がすっきりし、失禁したにもかかわらず臭気がない。そして何故か乾いている。
着衣に乱れはなかったはずなので、一緒にいた男の子・ロキュスさんが何かをした訳ではなさそう。
さらに言えば顔に張りがある。
念のために個室に鍵を掛け、衣服を脱いでいく。
着替える場所で裸になる訳にはいかないので、こうして冒険者ギルドの個室を使っている。
下着を見ても綺麗だ。
失禁したようには見えない。
そして顔もそうだが、全身の肌が妙につやっつやなのだ。
受付嬢は常に人に見られるので、身だしなみには人の何倍も努力をして気を遣っている。
それでも肌の張りには限界がある。
その張りが絶好調。
考えられるのはあのスライム。
気を失う前にもう1体、白いスライムの姿は確認した・・・・
青いスライムが肌に潤いを?そして白いスライムが失禁した後始末を?
恥ずかしいけれど後でロキュスさんに聞いてみよう。
《ロキュス・草原と森の境目》
どうやら目の前のワームは、土を活性化させる事が出来るようです。
詳しくは分かりませんが、アスワムちゃんが地面の中に潜り、土をかき混ぜる事によって土を活性化させ、作物の成長を促進させる事が出来るのではないかと判断しました。
まあ従魔の拙い言葉から読み取ったのですが、これは試してみないと何とも言えません。
【
アスワムちゃんの言葉に何だろうと思いつつ、その場所に向かいます。
今まで行った事のない場所。
見ると薬草が生い茂っているので驚きました。
しかも普段スラちゃん達が取り込んでいる薬草よりも状態がよく見えます。
【
スライムにとって薬草っておいしいんだ。
するとカバンの中が妙に激しくなっています。
中のスライム達がカバンから出してって訴えている様子。
僕はカバンからスライム達を出していきます。
赤・黄・緑のスライム達がそれぞれ好みの薬草の所に向かいます。
あっという間に薬草が見えなくなりました。
暫くするとスライム達はプルプルと体を震わせ始めたので、容器を差し出しました。
するといつもより濃い液体で満たされました。もしかしていつもより高品質の薬効が抽出できたの?
更にスライム達は何か固形物を地面に落としていきます。
それを見たアスワムちゃんが妙にはしゃいでいる様子。
どうするのかと思ったら、スライム達が落とした固形物に向かって突進、そのまま土の中に消えていきました。
当然ながら、固形物も地面の中。
もしかしてあのようにして土の中に肥料を混ぜているの?
そしてふと思いました。白と青のスライムなのですが、周囲に姿が見当たりません。
カバンの中を見ると、いつかのスラちゃんのように、カバンの中でじっとしています。
触れてみると硬いんです。
これはもしかして、この前のスラちゃんと同じ状態では?
また土の中に埋めたら、翌日になれば増えているのかな?
これはスラちゃんに確認してみた方が良いかな。
応えてくれるかどうかは分からないけれど。
一応声を掛けてみよう。こうして直接声を掛けた方が良い気がするので、今後もできる限り声を掛けよう。
「スラちゃん、この子達をこのまま地面に埋めて、明日になって出してもいいかな?」
【
喜ぶんだ。
まだスラちゃんは幼いと思うので、返答には微妙な時があるのだけど、スラちゃんの時と同じく増えるのかな?
増えるのはいいのだけど、僕はこれ以上管理できるのでしょうか?
それと2体のスライム、地面に埋めないでこのままカバンの中に入れっぱなしだとどうなるのでしょうか。
【
どうやら地面に埋めておかないと死んでしまうようです。
スラちゃんの言葉を信じるならば、埋めるの一択です。
今気が付いたのですが、どうやらスラちゃんは僕が考えている事をどうやってか知る事が出来るようですね。
従魔とはこういうものなのでしょうか。まだまだ分からない事だらけです。
ワームのアスワムちゃんは、地面の中を移動し、僕に付いていくのだとか。
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