第12話 埋めたスライム

 2体のスライムを草原と森の境目付近に埋め、その場を後にした僕と従魔一行。

 実際はカバンの中にスライム達が収まり、ワームは地面を移動するので見た目は僕1人なんです。


 そして街へ戻りつつ冒険者ギルドへ向かいます。


《冒険者ギルド》


 中へ入るとまだ時間的には夕方前だった事もあり、冒険者の方々の姿はあまり見受けられません。


 そして僕はあっという間に腕を取られ、そのまま奥の部屋に連れ込まれてしまいました。


 そう、先に急いで戻ったベアトリクスさんです。そんなに慌てなくてもいいのに、どうしたんだろう?


《冒険者ギルド・奥の個室》


 冒険者ギルドの建物は、入ってすぐに受付のカウンターがあり、冒険者の方々は基本そのカウンターで用事を済ませます。


 しかし込み入った事情があったり、特に時間がかかりそう、又は受付の方が必要と感じた時には、こうして奥の部屋に連れて行く事があるようです。

 後は他の人に知られては問題がありそうな時とか。

 僕の場合は何故でしょうか?


「いきなりごめんなさいね!あのね、ロキュスさんに聞きたいのだけど、あの時私ってどうなっていたの?大体は分かるけど、ちゃんと確認したいのよ?」

 何だか普段より顔色がいいです。

 いつもは作ったような表情なのですが、今のベアトリクスさんの顔は生き生きと輝いているとでもいうのかな?ただでさえ素敵なお顔なのに、これ以上素敵になるとはどういう事?みたいな。

 もしかしなくても青いスライムのせいだよね?

「はい、確かベアトリクスさんがスライムに手を差し伸べた所辺りからでしょうか?」

「そうそう、その時青いスライムが私の腕を伝ってね、そこからお願い。」

 僕は自分で見た事を話しました。


 ベアトリクスさんの腕に青いスライムが乗り移り、胸に移りその後顔を目指し顔を覆って行った事。

 そしてそれをベアトリクスさんが攻撃を受けたと勘違いしたようで慌ててしまい、何だか震えたと思ったらその、失禁してしまい、それを見た白いスライムが今度は失禁で汚れた足元から、おしっこを体に取り込み、水分もろとも体外に排出していった事等。


 それを恐怖と感じたベアトリクスさんはいつの間にか意識を失い、その場に倒れてしまった事。

 なお、倒れた地面にはスラちゃんが待機していて受け止めていた事も付け加えました。

 あの時は驚きました。

 小さなスラちゃんがベアトリクスさんの身体と頭が地面に向かって倒れるのを支える事が出来たのですから。

 意外と力があるんだなあ、と。


 その後白いスライムはベアトリクスさんの股間付近まで進み、その後同じように綺麗にしていって、汚れた部分が綺麗になった後にカバンに戻って行った事。

 そして青いスライムはベアトリクスさんの顔から離れた後に、胸元から服の中に侵入、恐らくベアトリクスさんの全身の肌、それも古くなった皮膚の余分な部分を体内に取り込んで、やがて再び胸元から出てきてカバンに戻った事。


「じゃ、じゃあ青いスライムは私を攻撃したのではなくて、皮膚の余分な物質を食べてくれたって事?それに白いスライムはもしかして、人間の排せつ物を綺麗にしてくれるのかしら?」


 僕のあんな説明ですぐに理解してくれるとは流石です。


「そんな感じです。そういえば以前にも、僕が用を足した時に白いスライムがそこに向かった事がありました。」

「そう、そうなのね、素晴らしいわ!じゃあね、その青と白のスライム、見せてくれないかしら?」

 僕は困ってしまいました。そう、今は2体とも土の中。正直に話しておきましょう。

「その、今は2体とも土の中に埋めてあるんです。」

「ええ!!!ではまた増えるのかしら?」

「どうなのでしょう?スラちゃんは僕のテイムした従魔でしたからよかったのですが、青と白のスライムは僕のテイムした従魔ではありません。」

「そうだったわね。私は考えたのだけど、あの小さなスライム達はスラちゃんの【眷属】なのかもしれないわね。」

「眷属って何でしょうか?」


「うーん、眷属と一言で言っても色々な意味があるのだけど、スラちゃんの場合は同族や親族といった意味合いね。そもそも最初はスラちゃんから増えた、分裂?ちょっとわからないけれど、スラちゃんから増えたからスラちゃんの一部なのかもしれないし、別の生命かもしれないわ。そしてスラちゃんの命令には従っていて、スラちゃんの主であるロキュスさんに従っている事からそう推測するの。ただこう言った報告例がないからわからなくて。あ、ごめんなさいね、今日はポーションあるかしら?うっかりしていたわ。」


 僕がここに来た本来の目的は買い取りです。

 なので手持ちのポーション・・・・この頃には、僕が買い取ってもらうスライムの吐き出した液体は、ポーションと認識されていたようです。

 なのでポーションの買取という事になっています。

「あら?いつもより品質がいいわね?D?いえCねこれは。」

 最近はEかEとDの間の品質だったんです。

 それを飛び越えてCですか。

 これはアスワムちゃんのお陰かな?



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