小学生の頃は、そこに気恥ずかしさなんて感情は存在しなかったのだろう。普通に仲が良かったはずだ。
しかし、中学生にもなると、思春期というよくわからない想いが、素直な気持ちを邪魔するように大きくなってくるのだ。
この物語の主人公、『僕』もそのひとりかもしれない。
そんな『僕』の目の前には今、思春期を理由に遠ざけてしまった彼女がいた。
それまでの、突き放していた『僕』とは思えないほど、素直な想いを口にする。そこには、『僕』がそれまで抱えていた苦悩が滲んでいた。その理由とは……?
女の子とうまく話せないこと、気持ちを誤魔化してしまうことは、男の子なら、誰もが経験することかもしれない。
この物語も、そういう甘酸っぱさが溢れている。
主人公、『僕』が、その想いに気づいた時、それまでに流れた時間は、哀しく儚い。
でも、その想いを伝えることができた『僕』は、幸せだったはず……。
読後に、あなたのこころに残った想いはどういうものだろうか……。