10 隻眼の男

ジラルドside


目の前にいる50前半の中老の男。数多の戦場をくぐった証の眼の傷と、右足の竹で作られた義足。

元Sランク冒険者であり、狂雷の異名を持つ元剣士だ。

「で、何の用だ」

「はい、今日アード・ジグラルという少年のCランク冒険者試験を行い、Aランクの試験に使われる死せる魔術師リッチを実質三分生き残ったら合格の条件で試験を行いました」

「で、死体は?」

「いえ、死体は、死せる魔術師リッチのほうです」

「は?」

「しかも、討伐時間は、49秒。出した技は、八重十字斬。剣神流中級の技と、抜刀居合だけです」

「は?」

「それは、本当か?」

「俺の全盛期の死せる魔術師リッチの最速討伐時間は、32秒だ」

「俺の最速討伐時間とそんなに変わらんだと?」

「だったら俺が、見極める」

「明日この部屋まで案内しろ」

「はい、わかりました」

「では、失礼します」

「ああ」

あいつらは出て行ったか…

「アード・ジグラルか…」

「覚えておこう」

「俺が明日見極める」

「俺の愛刀『隼』にて、見極めてやろう

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