9 冥血の獣

ジラルドside


俺は、冒険者ギルド迷宮都市イラド所属のA-ランク召喚士だ。

相棒は、Aランクモンスターの火竜フレイムワイバーンを筆頭とし、死せる魔術師リッチや、化石蜥蜴ロックバジリスクを多数持つこの帝国内でもトップ10に入るような召喚士だ。

カイザー・イディラムが来た。彼も俺が合格をやった冒険者の一人だ。

彼曰く、剣聖の称号持ちだという。

剣聖は、剣神流の聖級の実力を認められ、『天覇斬』以下の技を扱えるということだ。

本来剣聖の実力は、D~Bと言われる。

俺は、彼の試験に3体いる死せる魔術師リッチを選択した。

聖剣でも、4分生き残れたらいいほうだ。

3分生き残れば、召喚を解除するつもりだった。

死せる魔術師リッチと単体で対等に戦えるのは、Aランク程度だ。

例えば、剣王、剣帝、剣神等だ。

だが、あり得ないものを見た。

死せる魔術師リッチを対等以上の力で、叩きのめし、一分以内に魔核を叩き切ったのを

彼は、異次元だ。次元が違う。まるで同名だが、"冥血の獣"の異名を持つアード・グラメルス。前回の人魔大戦の功労者という彼のように…

まさか彼がそうなのか?

いや、まさかな。

「おめでとう」

「合格だアード君」

その声は、少し震えた気がした。

「ありがとうございます」

「ギルマスには、こっちから言っておくから、また明日このギルドの受付に言いなさい。

「はい」

「じゃあ、これからギルマスに行ってくるから」

「はい、さようなら」

彼は、踵を翻し試練城から姿を消すと、足が限界を超え、へたり込んだ。

二人も同じらしい。

「なあ、リーディル、カイザー彼どうする?」

「ギルマスに話すしかないでしょ?」

「ああ、俺もリーディルさんに同意する」

「だよな?」

「リーディルにカイザーついてきてくれ」

「おう」

「ええ」

ギルド支部のギルドマスターの部屋に向かい、ノックをした。

「誰だ?」

「迷宮都市イラドギルド支部所属ランクA−ランク召喚士ジラルド・オーマンです」

「同じく迷宮都市イラドギルド支部所属元Aランク冒険者リーディル・ヴィグラードです」

「同じく迷宮都市イラドギルド支部所属Dランク冒険者カイザー・イディラムです」

「そうか、入れ」

「では、失礼します」

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