4 新しい剣

「よーし、そろそろいいかのぉ!」

「酒じゃ!エールを持って来い!」

そうして運ばれて来たのは、串焼と、つまみだ。

そして樽2つ。

「ヴァル。1つ言っておこう。俺は、炭鉱族(ドワーフ)もびっくりな程の大酒飲みだ」

「ほう、儂もあんな爺よりは、飲めると自負しておるわい」

ゴクゴク...飲み続ける。

ゴクゴク...飲み続ける。

一晩中飲み酔いつぶれた。

「まったく。仕方ないね」

「ほれ、水も飲んで酔い覚ませ」

「ああ、助かった」

「アード。お前魔法都市エルクートに行くにゃあ、ちと貧弱すぎやしねぇか?」

「そうなんだよな」

「この森は三つの勢力に分かれている」

「それぞれを三界王と呼ぶ」

「まず、儂は、この森の6割は儂のもんじゃ。赫剛のクヴァルドと呼ばれておる。そして儂と対極をなすのが蒼界のイルグーヴァ。この森の3割の領土を持つ雷獅子。3界王の中で一番領土が少ないが、サシで戦っても儂も、無事では、すまない魔皇蟲ドゥルローガ。この三体がいる。」

マルトに行くには、ドゥルローガの領地を通る。奴の領土に足を踏み入れるなんざ、自殺行為そのものだ」

「エクルートに行くんだったら迷宮都市イラドも通るだろ?」

「ああ、そのつもりだ」

「ならイラドに直行しろ」

「それなら儂の領土しか移動しないからな」

「そのほうがいいか」

「目的地を変えさせてしまったお詫びと言ってはなんだが、昔冒険者が落として行った剣がある。その剣の好きなのを選べ」

そして、差し出される剣は、3本。

柄や鍔が黒い鋭い両刃剣。

細い両刃のレイピア。

黒い片刃の刀で、鍔がガードの付いた髑髏になっている。

「この刀西洋じゃないよな?」

「ああ、エルドゥ公国の冒険者が所持していた」

「ああ、東の端の?」

「そうだ」

「そいつぁ『死神』じゃ」

「死神」

「こいつにする」

「そうか、ほれ」

「石を投げ渡される」

「これは?」

「鑑定石じゃ」

「ありがとヴァル」

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