2 大猩猩
「呵々。何と奇っ怪な者達じゃ!」
「何処だ?」
「木の上じゃ」
木の上を視認する。
中には大きな大猿が木の上からこちらを睥睨していた。
「猩猩か?」
「ちと違うのう」
「儂は、大猩猩。猩猩の王じゃ!」
「人の子よ、儂の森に何用じゃ?」
「この森を通り、マルトに行きたいんだ」
「ああ、あの森を抜けた先にあるちんけな村か」
「あんな廃れた村に何の用があるんだ?」
「まあ、正確に言えば最終目的地は、魔法都市エルクートだ。そのために行こうと思っている」
「成る程そういうことか」
「通っても良いか?」
「否。儂を倒せ」
「黒剛腕・鬼徹」
「八重十字斬」
「うむ、呵々。まさか木の枝で斬ってくるとは思わなんだ」
「鉄壁と謳われた儂の体にたかが木の枝で切り傷を作るとは...」
「儂の負けじゃな」
「儂は浅いが傷を作られた。そしてお主は、無傷」
「どちらの勝ちか一目瞭然かと思うが」
「そうなのか?」
「そうだ!そして気に入った!」
「儂の集落に連れて行こう!」
「少し耳を閉じていてくれ大声を出す」
「猩猩共!客人だ!宴の準備をせい!」
「「おう!」」
さすがは、大猩猩だな。耳を塞いでいても大きな声が聞こえた。塞いでいなかった鼓膜破れてると思う。
リュノは、震えてる。
スライムだから耳が防げなくて大きな声でびっくりしているのかな?
「さすが大猩猩だ」
「そう言ってもらえるとうれしいな」
「集落へ向かおう」
「ああ、頼む」
俺たちは、大猩猩に連れて行かれ、猩猩の集落に向かう。
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