悪夢
これは私が高校生の頃に体験した、もう二度と見たくない夢のお話。
時は高校一年生。ゲームを作ってみたいと思ったことを理由に、とある工業高校に入学していた私は、ある問題に直面した。その問題とは__。
『プログラミングしねぇじゃん!!』である。
私が所属していた学科は電気科。週に一度半日通して行う実習ではそのほとんどが電気工事であり、プログラミング関連は月に一度やるかどうかだった。
正直に言ってふざけるなと叫びだしたかった。
だが当然そんなことは出来なかった。
日が経つごとに私の精神と使える時間は短くなっていった。もともと苦手分野における集中力があまり続かないこともあって、7月の頭頃には通学の電車のほかに一人で出来る趣味の時間は無くなっていた。
ネットの友人と雑談やゲームをする時ですらレポートと並行していたため、本当に趣味一本に集中できたのは電車に乗った30分弱だけだった。
と、これが一学期の出来事である。
異変が生じたのは二学期の半ば頃だ。
ある日の放課後、いつものように課題を進めようとノートを開いたはいいものの、強い眠気に襲われてベッドに入った。仮眠くらいはいいだろう。そう考えていた。
何時間経っただろうか。いや、もしかしたら数分と経っていないかもしれない。
金縛りに近い現象が起こった。寝返りが打てない。瞼が重く動かすことも出来ない。それどころか、布団に肌が触れる感覚すらない。まだ夕方でカーテンも全開にしているはずなのに視界は暗闇に染まっている。
私は恐怖した。何か自分の体がおかしくなっているような気がしてならなかった。
足をばたつかせようと、腕を振るおうと、何も感じなかった。
これは拙いと思い、今度はゴリラのドラミングのように胸を叩きつけた。それまで同様痛みは全く感じなかったが、大きく咽せたことで上体が起き上がり意識が戻った。
案の定というべきか、振るった手足はベッドの木枠にぶつけて痣になりかけていた。
直感で、あれは死に近い何かだったと悟った。
それから、近くの精神病院に通うことになった。私は鬱になっていたらしい。
多少過労気味ではあったが、深刻なのは心の方だという。
言われてみると心当たりはあった。教室に入っただけで心拍数が上がり呼吸が乱れたり、怪我をしても何とも思わなくなったり。おかしいところはいくつもあった。
結局私はその年を最後に転校することになった。
二年生に進級するための最低限の単位を取り、課題もあまりやらなくなった。
最後の数か月だけはちょっとだけ楽しめたんじゃないかと思っている。
願わくばもう二度と、あんな夢を見るようなことにならないといいな。
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