部活とエアコン
桜の花弁が散り、山が青く染まり始めた頃。私はいつものようにパソコンとにらめっこをしていた。
額から生ぬるい液体が頬を伝っていくのを感じ、それを袖で拭う。汗だ。パソコンに夢中で室温が上がっていることに気づかなかったらしい。
春と言っても近頃の気温は馬鹿にできない。たとえ窓を開けていたとしても、部屋は熱気に包まれる。
夏に入ってからのことを考えると、エアコンを使うのは早すぎる気もしてくるからやりづらい。
特に私は軽度だが寒暖差アレルギーというものを持っている。エアコンを起動し、急激に室温を下げようものなら、待っているのは酷く風邪に似た体調不良だ。
そういえば部活をしていた時はどうだったか。
中学の頃、バスケ部に所属していた私は朝早くからモップかけに勤しんでいた。喘息で練習もすべてには参加できず、加えて身長もなかった自分が上手くなるには、他の部員より早く練習をするしかないと思っていたのが主な理由だが、そう長くは続かなかった。
早朝の体育館は寒い。深夜の冷気に当てられた床や鉄柵は、昇ったばかりの太陽で温まるほどぬるくはなかった。ゴールを移動させる鉄の棒、これが格別冷たかった。春でこれなら冬はどれほど冷たくなるのか、想像するたびに肝を冷やしたものだ。
朝九時には全員が集まり、本格的に練習が始まる。早朝は寒かった体育館も、この頃になると汗が流れてくる程になる。真夏になると更に気温は上がるが、梅雨が近いこともあって湿度が高いこの時期が実は一番苦しかったりする。
水分はとったそばから汗となって流れ、多い時では3リットルのスポーツドリンクを消費する。塩飴の類は取り合いになることも珍しくなかった。
当然、市立の中学校に空調などあるはずもない。人間慣れればなんとやらと聞くが、思えばこの頃はエアコンなど夜寝る前に布団を冷やす程度でしか使っていなかった。よく熱中症にならずに済んだものだ。
やはりたくさん汗をかくのが一番健康的なのだろうか?
まぁ今同じことをすれば病院行きは免れないだろうが、少しは過去の自分を見習って運動するのもいいかもしれない
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます