其之二 だるまさんが転んだ
「だるまさんが転んだ!」
私はよく同級生と一緒にこういった遊びをしています。勿論、中のいい同級生とだ
けです。そして今日もお昼休みに友人達と屋上へ行き、恒例のそれをする事にしました。メンバーは私も含めて
そして、いよいよ私の番が周ってきました。私は屋上のフェンス越しで瞼を閉じながら、少し長めに秒を読み、
「――転んだ!」
と言って振り返りました。でも、流石私の友人達。いつも一緒に遊んでいるだけあってそう簡単には鬼を代わってくれる様子はありませんでした。
「――転んだ!」
「転んだ!」
「だぁるぁまぁさぁんぁがぁ――」
「タッチ」
そしてようやく、と言うと少し語弊があるしまた私が鬼なので悔しいけれど、ようやくその声が聴けたので、内心でちょっとだけ「やった」と思いつつ、背後を振り返りました。しかし、
――あれ?
よく見ると他の子達はかなり距離の離れた場所にいて、私にタッチをしたと思しき子はどこにも見当たりませんでした。おかしいな? そう思い、私は今誰が私にタッチをしたのかを訊ねてみました。すると、
「……嘘」
自分達は誰も私には触れていないと言い、それどころか、その子達からすれば逆に
何故私が唐突に振り返ったのかも理解出来ない。というのです。それについて、何か
嫌な予感がした私は、念の為に人数をかぞえることにしました。
「――七、八、九、一〇、一一、一二人……人数は大丈夫、か」
私から数えはじめたので間違いはないはず。そう確認したうえで、しかしそれでも
まだ恐かった私は、あともう一〇、一五分程残っていたお昼休みを教室で過ごすことにしようと提案し、急いでここから戻る事にしました。そして戻り際、階段を降りて
いた時、
――一一、一二、一三。
「あっ」
最後の一歩を踏み出そうとした時、誤ってその段を踏み外してしまったのです。
――嫌だ……嫌だよ……。
死んでしまう。そんなふうに直感で思った私は、ぎゅっと瞼を閉じた。確かに下り階段で転ぶのは、或いは両手さえついてしまえばいいだけの話です何だったら少し見た目は悪くなるけれど膝をついてしまうのも一つの手だったかもしれません。でも、何故私がそう出来なかったか。それは……。
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