短編集―恐怖彩る九十九物語―

三点提督

其之一 遊ぼうよ

 これは今から三年前の事、僕がまだ高校に入学したての頃に体験した話です。

 その頃、僕にはある一つの特異な特徴がありました。それは所謂霊感というもので、しかしそれは、どちらかと言えば恐怖というよりかは不思議、或いは助言に近い

もので、その一つが、その時体験した、謎の少女のいざないでした。


「ねぇお兄ちゃん、一緒に遊ぼうよ?」

 はじめてその少女からの誘いを受けたのは、僕が暇潰しに立ち寄った公園のブランコでした。その時は誰もいなかったので、半ば仕方なく砂遊びなどをして相手をしてあげました。その子は確かにどちらかといえば可愛くて、見た目的には年端はいって

いないようでした。

 ――こんなに幼い女の子が一人で遊びに来るとか、もしもどこかのヘンタイ野郎に

捕まったらどうするんだよ?

 内心でそう思いつつ、僕はその子の方へと視線を向けました。しかし、

 ――あれ?

 いつの間にかその子の姿は消えており、その代わり、僕のすぐ足元には一通の便箋が落ちていました。その中には少しだけへたくそな字で、


「ありがとう」


 と書いてありました……。

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