9-2

「今日はここまで、それではまた次回お楽しみに~」


 「叶彼方でした」と言ってエンディングムービーが流れる。

 あっという間に終わってしまった。

 楽しい時間は時が早く過ぎると言うが、二時間は立っているので我儘というものだ。

 しばらく楽しさに浸っていると、奏から連絡が来た。

 

「もしかしてだけど、あの投稿って松本君かな?」

「……どうだろう?」


 これ言ったら、小倉さんに伝わると可哀想なので黙っておくことにしている。

 「ふ~ん」っと疑ったようにそう言った。

 

「知らないからな」

「……やっぱりそうなんだねぇ~」


 何だろう、その言葉には見透かされてるような含みのある言い方だった。

 彼女の常套な誘導尋問だ。

 こういう所でバレるんだよなぁ~。

 彼女はこういう事が上手いので隠し事が何度バレた事かわからない。


「さぁ、何のことやら?」

「それにしても、踊る大修羅場線ってネーミングセンス、蓮人が考えたの?」

「僕じゃないけど、中々のネーミングセンスだよな」


 実際考えたのは晴斗なので、嘘はついてない。

 

「今日の配信、どうだった?」

「控えめに言って極上」

「……ふふっ、何それ最高じゃないの?」

「最高より上だろ、僕にとって彼方ちゃんの配信はいつも極上だよ」


 実際、彼女が配信してくれるだけで幸せな気持ちになるのだ。

 極上以外なんと言えようか。


 

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