第78話 いのちより大切なもの
いのちより大切なもの
いのちが一番大切だと
思っていたころ
生きるのが
苦しかった
いのちより
大切なものが
あると知った日
生きているのが
嬉しくなった
これは二十四歳の時に、事故で首から下を動かすことが出来なくなった星野富弘さんの書かれた詩です。
中学校の教諭になられ、クラブ活動の指導中に頚髄を損傷。
首から下の運動機能を失われ、以後九年に及ぶ入院生活が始まります。
九年という入院期間「あれがなかったら僕の人生は違っていた」と何度も思ったそうです。
限りなく過去を
来る日も来る日も病室の天井を見ながら思い、いつもそこに行きついてしまう。
それはあまりにも惨めな事でした……と。
『いのちより大切なもの』(星野富弘 著)の本を図書館で見つけた時、私は「あっ!」って思いました。
以前、何かの本で紹介されていて気になっていた方だったのです。
私はこの本をすぐに手に取って、ぱらぱらとめくってみました。
口にくわえた筆で描かれたとは思えない程のあまりにも素敵な絵と詩にくぎ付けになりました。
星野さんの描かれた絵が詩が、心に響きました。
この他にも数々の作品を描かれて本もたくさん出されています。
群馬県には『富弘美術館』もあるようです。
こうして口に筆をくわえて絵を描こうと思われるまでには色々な葛藤があり苦しみを乗り越えてこられた日々があるのだと思います。
気の遠くなるほどの努力の連続だったことでしょう。
本人にしか分からない辛く悲しい日々だったことでしょう。
何枚か書き続けるうちに、入院して九年目の春、ある人に勧められて、初めて絵の個展を開かれました。
どれも人様に見せられるようなものではないと最初は嫌で嫌で仕方なかったそうですが、その中でも一番お粗末だと思っていた「けやき」の絵を買って下さった方がいたそうです。
それが星野さんにとって印象深い出来事となり、その絵を描いた時の気持ちを忘れないように花を描かせて頂こうと思ったそうです。
感動を与えて頂く素晴らしい絵の数々です。
ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、是非機会があれば見て頂きたいとここに紹介させて頂きました。
『いのちより大切なもの』(星野富弘 著) 発行いのちのことば社
いのちより大切なものってあるの?って最初は思いました。
けれど、いのちより大切なものがあるって素敵なことだと思いました。
近況ノートに、星野富弘さんの作品をほんの一部ですが紹介させて頂いています。
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