第69話 アルバイト ②
高校生の時に、もう一つ別のバイトをしたことがあります。
私が子供の頃は近くに結婚式場がなく、地元の農業協同組合(今のJA農協)の会館で結婚式を挙げる人が多くいました。
又、地元には老舗旅館があり、そこで神前結婚式を挙げることもできました。
私の友達がその旅館と家が近いということもあって中学校の時から、その旅館で結婚式が行われる時にお姉さんと一緒に姉妹で巫女さんをしていました。
高校生になった時、その友達のお姉さんが進学のために地元を離れられた為,巫女さんが出来なくなり、私に「巫女さんやらない?」と誘ってきました。
私は「えっ!私なんかが巫女さんをしてもいいの?」と思いましたが誘われるまま、その旅館の女将に会いに行ったら、「ちょうどいいわ。お願いね」と言われ引き受けることにしました。
背丈も友達と同じくらいで髪も背中まで伸ばしていたので、ちょうど良かったようです。
私もお金がもらえる上にいい経験が出来て面白そうって思いました。
その旅館で結婚式が行われるのは、滅多になくてせいぜい年に2~3回なのですが、結婚式が行われる時は声がかかり、念入りなリハーサルをして当日に臨みました。
まずは歩き方から習いました。
つま先から足を伸ばすようなイメージで顔は前を見てしずしずと。
式の最初から最後までの流れを一通り練習します。
結婚式は一生に一度の夫婦の永遠の契りを交わす大切な儀式です。
失敗は許されません。
厳かな音楽と共に練習を重ねました。
三々九度は新郎新婦が神前で小・中・大の三つ重ねの盃で交互にお神酒を酌み交わす儀式です。
この時、お神酒を注ぐような仕草を二度した後、三度目で実際に注ぐのが作法で、何度も練習しました。
当日は白衣と緋袴に身を包み、髪も後ろで一つに結び厳かな気持ちで巫女さんをやり切りました。
なかでも新郎新婦にお神酒を注ぐ時が一番緊張しますが、可笑しかったのは、新郎新婦も初めての経験で緊張しているということです。
特に新郎さんの方が緊張して手が震えたりしてるんです。
だから盃にお神酒を注ぐ時に気をつけないといけませんでした。
新婦さんの方が意外と堂々とされてます。
新郎新婦にお神酒を注いだ後は、一人は新郎側の親戚、もう一人は新婦側の親戚にそれぞれお神酒を注いでいきます。
それが主な仕事でした。
神主さんが結婚を伝える
近況ノートにともはっと様に描いて頂いた巫女さんのイラストあります。
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