第67話 魅せられて

 「魅せられて」と言えば、若い方はご存知ないかもしれませんがジュディ・オングの歌を思い浮かべる方もいらしゃるのではないでしょうか。

歌いながら両手を広げた白いドレスの衣装が印象的でしたね。


 歌手、俳優として活躍するジュディ・オング(七十二歳)の創作の美へ誘う

「ジュディ・オング倩玉せいぎょく 木版画の世界展」

(中国新聞社など主催)

が三次市東酒屋町の奥田元宋・小田女美術館で開かれています。(一月十七日まで)

 版画独特の鮮やかな色で表現した花や日本古来の建物など約百点が展示されています。


 今回、大阪の姉がお正月休みを利用して母の面会を兼ねて我が家に来たので、その滞在中にこの美術館で開催中の「ジュディ・オング倩玉せいぎょく 木版画の世界展」に一緒に行ってきました。


 ジュディ・オング倩玉が木版画の道に入ったのは、棟方志功門下の版画家井上勝江氏の個展を見たことがきっかけだといいます。

白黒で表現されたポピーの版画作品に「色」を感じ魅せられ、何とその場で井上氏に弟子入りを請うが断られてしまったそう。

しかし、自宅に帰ってから自己流で板に椿を彫り、バレンが無いのでスリッパで摺り上げて井上氏に見せたところ入門を許可されたといいます。

元々才能があったんでしょうね。

 この時すでに歌手、女優として成功をおさめていたジュディ・オングの行動力に驚くとともに、このきっかけがなければ今のジュディ・オング倩玉は無かったのかと思うと縁とは不思議なものだと思いました。


 子供の頃から絵を描くことが好きで、水彩や油彩などを手掛けていましたが二十五歳で木版画に出会い才能を開花。

木版画作品で日展において十四回の入選を果たし、特選も受賞するなど輝かしい実績を残しています。


 私なんか、小学校の時の図工か中学校の時の美術の時間に彫刻刀を使って版画を2〜3度程度描いたような記憶がありますが全く才能はなかったようです。残念😅


 ジュディ・オング倩玉の主要な木版画作品のテーマは伝統的な「日本家屋」と「花」です。

力強い黒線で緻密に描かれる日本家屋の作品と比べると、花の作品は没骨的で柔らかい曲線が際立つ構図が特徴といえます。

その中にあって、二輪の牡丹ぼたんを描いた作品は深い赤の背景と落ち着いた緑の葉、明るいピンクの色彩の牡丹の花の力強さを主張しているように感じます。

 古くから日本や中国の絵画に描かれてきた牡丹が、自分の絵の中でも永遠に美しく咲いてほしいと願いながらチャレンジしたといいます。


 京都の世界遺産・平等院の鳳凰堂ほうおうどうを描いた作品や重要文化財に指定されている京都の揚屋建築「角屋」など日展入選作品や名古屋の日吉町にあった料亭「稲本」を描いた「紅楼依緑」日展特選作品など数多くの展示作品のひとつひとつに感嘆の声をあげながら私も魅せられてしまいました。


 ジュディ・オング倩玉の世界観に触れ、しっかり目と心の保養をして充実した時間となりました。


 近況ノートに画像あります。 https://kakuyomu.jp/users/cocopin/news/16817330651649915800

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