第9話 英会話教室 ①
私は地元の教育委員会主催の『英会話教室』に通っていた事があります。
何故なら、若かりし頃に英語が喋れない為に苦労した苦い経験があったからです。
だから、英語が喋れるようになりたい!その思いを叶えたかったのです。
その頃、町内の教育委員会が交際交流の一環として、海外から英語の先生を招いて、町民に対して交際交流を兼ねての『英会話教室』を開いていました。
成人した人なら年齢性別関係なく誰でも参加でき参加費は無料でした。
参加人数は20名位で、週1回のペースで夜7時から9時迄行われていました。
年齢は幅広く20代から70代、男性2割女性8割位の割合でした。
私はその頃30代後半でした。
講師の先生は、アメリカから来られた20代の独身男性で、「山田士郎」と名乗っておられました。本名は分かりません。背も高くなかなかのイケメンでした。
生粋のアメリカ人ですが、日本が大好きで特に日本の歴史には詳しく、日本のお城を巡るのが趣味と言っておられ、顔はどう見てもアメリカ人ですが中身は日本人より日本人らしい先生でした。
しかも、日本語がペラペラ、特に広島弁が上手でした( ´艸`)たまに関西弁もしゃっべっておられました。(学生の頃、日本に留学していて関西方面にも詳しかった)
英会話教室での授業は、ざっくばらんな雰囲気で楽しく進められていました。
私は英語が喋れるようになりたいのはもちろんですが、この雰囲気が好きで参加していました。
最初の自己紹介の時に、先生が「まずは自分の名前と、そして自分をどう呼んで欲しいか英語で言って下さい」と日本語で言った後、
「Ⅿy name is Siro Yamada.please call me Siro」
と見本を示して、「順番にどうぞ!」と言われたので、私は(おいおい、いきなり英語で言うのか)とビビったけど、(まぁ、名前くらい言えるかぁ)と思って、順番が来る迄に、私はなんて呼んでもらおうか、考えてみました。
みんな普通に自分の名前をそのまま言っていましたが、私はその時、フッと(そうだ!ミッシェルにしよう)と思いつきました。
その頃、テレビで「フルハウス」というアメリカのコメディドラマが放映されていて私はよく見ていたのですが、D.J.、ステファニー、ミッシェルの3姉妹のファンで特に一番下のミッシェルにはメロメロだったので、(そうだ!この英会話教室ではミッシェルになりきろう)と思ったのです。
それで順番が来た時に「Ⅿy name is Noco Konomi.please call me Michel」と言ったら、みんなが注目して(えぇ!)って顔で見るので、私も(どうしよう!まずかった?)と一瞬思っていたら、みんな笑って「いいね!」って口々に言ってくれ、更に私の後の若い男の子は「僕はサッカーが好きなのでマラドーナにします」と言っていたので仲間がいたと安心しました。参加者全員、最初は結構緊張していた感じですが、これで場が一気に和んだ気がしました。
それから先生が改めて、それぞれ呼んで欲しい名前で出席をとって、呼ばれた人は手を上げて「Yes here!」とか「here!」とか言いました。
私は「英会話教室」に通っている間中、「ミッシェル」と呼ばれていました。
しかも、すぐにみんなが私を覚えてくれて、「ミッシェル」「ミッシェル」と気安く呼んでくれていました。多分、私の本名は誰も覚えてないと思います( ´艸`)
毎回、授業の初めは、1週間の出来事を、英語で話すところから始まります。
だから、毎週何を話そうかと頭を悩ませていました。話題はあっても英語で話すとなると殆んど話せません。私はいつも単語を並べた片言で、アタフタしてました。(∀`*ゞ)エヘヘ
すると、士郎先生が、優しく解説しながら英語の文章に直して教えて下さいます。
教室での授業も毎回、身近な日常会話を中心とした内容でした。
そのおかげで、私はペラペラに英語が話せるように……なるはずでしたが、何故かなりませんでした(;´д`)トホホ
今でも、たまに「英会話教室」に通っていた人に出会うと「ミッシェル」と呼ばれることがあります。
そしたら私は嬉しくなります(´∀`*)ウフフ
次回は「英会話教室」のみんなで行った修学旅行のお話をします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます