友達。恋人。彼氏。彼女。その2
「明日は朝から小テストか〜勉強した〜?私してないや〜。」
「今度発売するフラペチーノ美味しそうだよね〜飲みたいな〜」
僕はいつもの笑顔を作って
「うん、そうだね」
とか「まずは小テストだよ。」
とかいつも通りを装って返答してみるけれど、脳内は上の空になっている自覚があるし、きっと上っ面な声しか出ていないのだろう。
客観的みると気まずい空気になるであろうシチュエーションでも、君は何も知らないふりをして、いつも通りの君で居てくれる。
だからこそ、友達という概念、恋人という概念、付き合うということ、彼氏・彼女の関係、そして自分の気持ちをちゃんと考えて、返事をしようと思った。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎
次の日
「おはよー!」
「おはよう。あのさ、」
一晩中考えて、答えが出た。返事は早い方がいいと思ったから朝に唐突に話を切り出してみる。
でも、
「ねね、昨日のTV見た〜?」
話を逸らされた。直感的にそう思った。
だから、
「あの、昨日のことだけど」
ごめん。少しだけ強引だけど。言葉を被せて話の話題を戻す。
君は僕の声色に気づき、真面目な顔になって、僕の目を見る。僕も君の目を真っ直ぐに見る。
「僕は、君のことが好きだ。」
はっきりと丁寧に聞き間違いの無いように言う。
君の、息をのむ音が聞こえる。
目を見開いた君の顔がだんだんと赤くなって、僕から少しだけ目線を下げる。
「嬉しい。良かった。ありがとう。....」
昨日の告白の早口とは打って変わった、いつもの元気な雰囲気よりも少し落ち着いた君の声が、僕の鼓膜を揺らす。
「付き合うって言っても、何をすればいいのかわからないよね〜多分私達はいつも通りになりそう。」
気の抜けた感じに"ふにゃ"っと笑って君が言う。
ありふれた、お決まりの言葉ということは分かっているけど、この言葉が1番しっくりくると思った。
「まあ、いいんじゃない?いつも通りで。それが僕達だよ」
フワフワ甘い、綿菓子みたいな空気が僕達を包んでいる。そんな気がした。
君が手を広げたので、僕は君を抱きしめてみる。君からやった事なのに、君は恥ずかしいようで僕が顔を覗くと凄く顔を真っ赤にしている。
しばらくして、
「あっ...時間..学校遅れちゃう..」
小さな声で囁くように僕の腕の中で言う。
「....あっ...」
その言葉で僕も我に帰る。
「じゃあそろそろ行こうか」
こういう時の君は大人で、僕より先に次の行動を誘導してくれる。
ようやく僕達は体を離す。
そして、僕達はどちらからともなく横に並んで学校へ向かう通学路を歩き始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます