友達。恋人。彼氏。彼女。

ショッピングモールに行った日の何日か後。

君と僕は放課後の教室にいた。


「あー無理。もう出来ない」


そう言って今日提出のはずだった机の上の課題の上にシャープペンシルを持ちながら君はだらりと突っ伏す。

僕はもう終わっているけれど、監視要員兼先生代わりとして残っていた。


「頑張れ〜」

「むぅ〜」


僕は気の抜けた喝を君に入れ、ペットボトルに入った炭酸飲料を飲みながら君の隣に座っている。


そうすると、君は真剣な顔に戻り、あーとかうーとか言いながらも、なんとか課題を進める事を再開する。同じくだりを10回くらい繰り返して、やっと君は課題を終わらせた。


「終わったー!もう外暗いね〜ここまで一緒にいてくれてありがとう!」

「いえいえ。いつもの事だし。」

「その言い方!いつも私が課題終わらない見たいじゃん!」

「だってそうでしょ?」

「んーまあそうなんだけど...」


課題が終わると、さっきの憂鬱な雰囲気が嘘のように元気で、僕の周りをうろうろする君をとても微笑ましく見ている。


「課題提出してきたよ〜もう少し早く出して帰りなさいって注意されちゃった。」


「じゃあ、帰るとするか。」


パシッ

「待って!」

帰ろうと席から立って荷物であるリュックを背負おうとすると、焦った、でも確かに意志を感じる君の声と僕の腕を掴む君の手が止める。

「え?」


「えっっと....」


僕がリュックを机に置き直して、君の顔をよく見ようと君と向き合ってみると、少し目を逸らして。君の顔がだんだんと赤く染まっていく。それから君より少し高めの身長の僕の目を上目遣いで見て。


「大輝くんのこと好きです。」


「えっ」


「最初はそんな事なかったんだよ?小学生からの友達で、すごく話しやすくてノリも合って趣味合って、でも去年同じクラスだったくるみちゃんにね?『大輝くんと付き合ってるの?恋人同士なの?』って聞かれてその時は違うよって言ったけど...その....段々と意識してしまいまして...」


そこでフェードアウトしていく、君の言葉。


まるで日本語五十音じゃ足りないっていうように早口になったり、恥ずかしくなったのか敬語になったり。いつもの君のテンションとはまるで違った。いわゆる、"女の子"な君がそこに居た。


僕は正直、何も考えていなかった。というか突然な告白だったからフリーズして、頭が真っ白で何も考えられなかった。


だから、「明日、返事してもいい?」

「...うん。」


僕がそう言うと、君は少しだけ目を逸らす。でも、なんとか了承を得た。


ごめんなさい。少しだけ考える時間をもらえる?



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