第3話

「はぁ、なんなんだよアイツ!」

と、誰かが言った。


みんなは、身近に『死』を感じたせいか、すごく攻撃的だ。みんな怖いよぉ〜

「っていうか、誰だっけ?私たちを逃した奴……私、あんな奴見たことないし、あの洞窟で気付いたんだけど……誰かアイツ知ってる?」と、川塚が皆に問いかける。が、だれも答えない……


「ってか、アイツの顔もう思い出せないんだけど……」


もうやめてあげて!。アイツのライフはもう0よ!?

そう思っている頃

「まあアイツのおかげで今こうやって生きていけてんだ。

拾った命大事にしていこうぜ!」 と大林。


いいこと言ってる割にやっぱり名前は覚えてないのね!

薄情だわッ! と、全員が神妙な空気を醸し出す中、突如、ぐるるぅ〜とお腹の鳴った音が聞こえた。

誰だ?と皆が辺りを見渡す中、「腹ご減ったぁ! そろそろ食べないと死ぬぅー」と、宮園が1人嘆いている。


クラスメイトが死んだかもって言う時によくそんなこと言えたな!ある意味凄いな…と思っていたら、男子達が「実は俺も……」とか名乗り上げている。

いやお前ら馬鹿なの!? 空気読めないのかなぁ!?


結局「腹が減っては戦ができぬって言うだろ?」と、食糧調達を宮園らがゴリ押ししてきたため僕達は食糧を探しに行く事にした。


女子も最初は落ち込んでいたが何故か元気がでてきたらしく、オラァ!って感じになってきている…やめてぇぇ!僕達の癒しを奪わないでよぉ!


正直、何処かも分からない場所で探検するとか気が乗らないだろ!?

怖いって思わないのか?

えっ僕がおかしいの!?


なんやかんやで、収穫はゼロだった。

まぁ、そりゃそうだ。

だって食えそうなものないもんね……


げこげこ鳴く子犬らしき物、こひゅーこひゅーと呼吸するアヒルのような物。

そんなの食べれるのか!?




食べ物をどうするのか、僕達はそれを考え続けた。

火もないので調理ができない。

これはかなり重大な問題であった。

「もう我慢できねぇ!俺は食うからな!?」

と宮園が生のママ食べた。

それを見たみんなも感化されたのか、一斉に食べ始めたので、ぼくも食べる。


その瞬間、世界が止まった。

勿論、世界は止まっていない。だが、一口目かじった瞬間に溢れ出る肉汁が口内を蹂躙する。生なのに焼きたてのステーキのような香ばしさ、まるで空気を食べてるかのように噛みごたえがなく、口の中で溶ける。


この時のクラスのみんなはきっと心を揃えて「うまーーい!!」と大喚起していただろう。



ふと、腹が満たされた故か閃いた。

あれ、これなんかチート的な力使えるんじゃね?

え、まって?これ使えるって絶対!

「ステータスオープン!」











…ん?おかしいな何を現れないよ?

え、皆僕を変質者を見る目で見ないで?

はい、そこ頭叩く用の石持たないで?それで叩いていいのは……大林かね?


これでわかったことがある。ステータスオープンって意味なさないじゃん、なにこれ、異世界で俺TUEEEくるわけじゃないの?


「まって、誰かいる!?」と、クラスでも目立たない神城が叫ぶ。

その目線の先には馬車のようなものが走っていた。馬じゃなくてなんか得体の知れない物体が引いているけど……

「やばいって、どうしよう!?絶対こっち気づかないって!」と大林が喚く中、西野だけは思案顔でやがて閃いたように言った。

「よし、大林。飛んでこい。」

そのまま大林が抵抗する暇もなく大林の襟首を掴み、他の女子に協力させて簡易シーソーのようなものを作って片方に大林を乗せる。

「え、まって、西野さん?なにをなさるのです?」

と大林はなにかを察したが、認めたくないというようにひたすらに問いかける。


向けられた方向は止・ま・っ・た・馬車。

そのまま大林は空を飛んだ。

だが、飛んだのも一瞬で地に堕ちた。

別に、ぐぎゃ!とか変な音は聞こえてないよ?ほんとだよ?クラスの皆が、首を背けたり黙祷したり手を合わせていても、音聞こえてないからね?

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」とか聞こえてないよ?ほんとだよ?

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現実はいつだって甘くない 林雷巣 @habitaemochi

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