第2話

皆が、次々と起きてくる中、大林は先程の気持ち悪い顔はどうした?と聞きたくなるレベルで昔のリーダーシップがあった頃のように、指揮を取り始めた。


「え、もしかして異世界転移!?」

と、ヲタクの中野が言ったので、僕は悲しい現実を突きつける。

「お前、可愛い美少女とか期待してるだろ?現実を見ろ?此処は山。誰もいない。食べ物、飲み物あるかわからない。しかも、何も教わったないから、魔法とかも使えない。なんなら、獣とかがいたら多分死ぬな。」


やべ、言いすぎた。

皆泣いたたり、呆然としてるじゃん……

もうどうにでもな〜れ♪


「おい、中村……お前、黒幕か何かだろ……?なぁ、そうと言ってくれよ……指揮とんのも、疲れるんだぞ?」


「悪いな…大林。頑張ってくれ!」と、いい笑顔でサムズアップする。


何故か、中村は長年勤めていた会社がブラック化して、中々帰れずに深夜にやっと帰れたのに、反抗期の娘に臭いと言われたお父さんのような雰囲気を出して僕を睨んでいた……

なんでだ?


とまぁ、大林が頑張っている間に、僕は周りの状況を確認するために木に登ろうと頑張っていたら、石島がやってきて、言った。

「え?なんで木に磔されてんの?」しかも、真顔で。

「え?石島、此処から帰れたら、眼科行けよ?これ、どっからどー見ても木登りだろうが!?」

と、木に両手が引っかかり十字にぶら下がったまま、石島の目の心配をする。

「いや、それ引っかかってるから……あ、おられないなら抱っこしてあげるよ?」と、仰る胸に栄養が行きすぎた女。

「まじで!?助かるわ!!」と、某泥棒のようにダイブすると、サッと避けられた。別に、泣いてなんかいないよ?

ジーッと見つめると、石島は目を泳がせて走ってみんなの方に戻った。


「ふっやれやれ、仕方のない子猫ちゃんだな。」

と、一人で格好つけるがツッコミを入れるものはいないで、虚しくなった。

頭上で、ばぁ〜っか!ばぁ〜っか!と鳴いてる鳥は高い木に顔面ぶつけろ。



まぁ、此処にいても、利益なんてないしな…フッ

とりあえず、みんなの所に残ると、もうみんな落ち着いていた。

え?すごくね?大林、洗脳使えんの!?ってレベル。もう、あいつ黒幕だろ……


「おーい何処行ってたんだよ?」

「いや〜そこら辺をぶらぶらとしてたんだけど特に収穫なし。」

「そうか…」


「中村、大林、お前らが一番最初に起きたのか?」

と、田村が聞いてくる。

「いや、西k!?」

なんだ!?急に悪寒が……悪寒を感じた方向を見ると、西木が鬼も裸で逃げ出すのではという顔でこちらを睨んでいた。漏らしてないよ?濡れてるのは汗のせいだよ?

「う、うん、ぼぼぼぼぞ僕らだけだだだだよよよ?」

「おい、中村どうした?急に壊れたラジオみたいに話して……?大林もどうした?なんか顔赤くて、息荒いぞ?」

「あら、大林君と中村君、大丈夫?」

と元凶が話しかけてきた。

おいおい、白々しいだろ……

そして大林。また変態に戻らないでくれ。

「だ、大丈「グルォォォォ!」何だぁ!?」


突然、腹の奥にズドンとくるような衝撃と、獣の呻き声が来た。

「皆!こっちに避難だ!」と、洞窟に避難する。

「おいなんなんだよ!今のは!?」と中川が僕達に問い詰めるが、僕らはなにもしらないので、わからないと伝える。

「グルゥゥ!」

と、洞窟の奥から狼らしきものが出てきた。

らしいというのは、明らかに狼じゃないのだ。

4Mはありそうな体躯。赤黒い角。もうちびりそう。っていうか、なんかアンモニアの匂いがするから、誰か漏らしてるな……わかるよぉ!


と、その時「俺はいいから先に行け!」と男前なセリフが洞窟に響いた。

誰だ?あいつ?僕は彼の名前覚えてない……やばい、どーしようん

「早く!俺が抑えている内に!」

「わかった!死ぬなよ、田中!」

と皆逃げていく中、彼は呟く。


「俺は田中じゃないんだけどなぁ………あ、我が主よ。今のところ計画通りに進んでおります……はい、では手筈通りに。」


彼から眼中にもないような態度をとられた狼は、ブチギレて、彼に襲い掛かる。

一瞬、目にも見えぬ早技で狼は肉片となった。

彼は狼だったものを見て、何事もなかったかのように、何処かへ転移した……

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