第3話
安吉と霧子は隠岐温泉にある『ITAGAKI』って旅館に泊まることにした。駐車場で雛罌粟とは別れた。
「何か困ったことがあったらいつでも呼んでくれ」
黒瓦のお城を思わせる建物なのが特徴的だ。
自動ドアを潜りチェックインした。
総支配人、
甲斐源氏の武田信義の三男に生まれ、甲斐国山梨郡板垣郷(現・山梨県甲府市善光寺周辺)を本貫としてその氏とした。板垣氏の始祖である。兄弟に一条忠頼、武田有義、武田信光らがあり、子に四郎頼時、六郎頼重がいた。
治承・寿永の乱に際しては、甲斐源氏の一族とともに源頼朝の麾下に参加。兄の忠頼が頼朝によって誅殺された後は、武田氏の次期棟梁と目される存在となり、治承8年/元暦元年(1184年)2月7日の一ノ谷の戦いでは大将軍源範頼の軍の中に彼の名があり、また備前で平家を撃退するなど功績を挙げた。
『吾妻鏡』元暦元年3月17日条によれば、兼信は土肥実平の配下に加わることを不満とし頼朝に訴えるが、頼朝はこれを退けたという。甲斐源氏では同年6月16日に一条忠頼が誅殺されており、さらに武田信義も失脚し勢力を失う。尚、頼朝の晩年には安田義定も失脚している。1189年(文治5年)に兼信は太皇太后領・駿河国大津御厨(静岡県島田市野田)の地頭職を解任された。
1190年(建久元年)、違勅(勅令違反)の罪を問われて円勝寺領遠江国雙侶荘(静岡県榛原郡金谷町志戸呂)の地頭職をも解任され、隠岐国へ配流された。
子孫とされる一族には、戦国時代に武田信玄の傅役となった板垣信方や、『甲陽軍鑑』によれば「両職」を務めたと言われる板垣信憲を輩出した譜代家老・板垣氏がいる。
部屋は2階、安吉が205で霧子が207だ。まだ、同じ部屋に泊まるまでの関係ではない。
安吉は浴衣に着替えて風呂に向かった。
浴場、打たせ湯、寝湯、圧注湯、気泡湯、ミストサウナ、車いす対応浴室が用意されている。なお、浴場以外は水着着用となっている。
打たせ湯で肩をマッサージしたり、気泡湯で腰をマッサージしたりした。安吉は熱いのが苦手なのでサウナには入らなかった。
風呂から出てロビーに向かう。無料のドリンクサーバーが設置されてる。水を飲むことにした。
ソファに座りカレンダーを眺めた。
安吉はあることに気づいた。
◎正月
2015年1月1日木
◎成人の日
2015年1月12日月
建国記念の日
2015年2月11日水
春分の日
2015年3月21日土
昭和の日
2015年4月29日水
みどりの日
2015年5月4日月
こどもの日
2015年5月5日火
憲法記念日
2015年5月6日水
海の日
2015年7月20日月
敬老の日
2015年9月21日月
国民の休日
2015年9月22日火
◎秋分の日
2015年9月23日水
スポーツの日
2015年10月12日月
文化の日
2015年11月3日火
勤労感謝の日
2015年11月23日月
天皇誕生日
2015年12月23日水
秋正成は11223という数字を意味していたんだ!
だが、5桁の暗証番号って珍しいな?
金融関係ではPINは4桁の番号、つまり 0000 から 9999 であることが多い。すなわち1万種類の番号がありうる。しかし銀行によっては、同じ数字だけの番号(1111、2222など)や連続する数字(1234、2345など)や利用者の誕生日や0から始まる番号を許さない場合もある。システムにPINを入力する際、3回まで試行できることが多く、盗んだカードをブロックされずに正しいPINを入力して使える確率は0.06%である。
「あれ?そっちもお風呂だったんですか?」
女湯の赤い暖簾が開き、霧子が現れた。長湯したのか頬が赤らんでる。
何て美しいんだ。どことなく
「なかなかいい湯だったな?」
「昔、鹿児島の霧島温泉に行ったんですが、そっちの方がすごかったです。噴水が上がってたり、『これが温泉だ!』って看板がデカデカと飾られてたり」
「坂本龍馬がおりょうと新婚旅行にやって来たところでしょ?」
「そうそう、日本の初の新婚旅行ですよ」
「そんなことよりも暗号の謎が解けたぞ」
安吉はカレンダーを指差しながら説明した。
「さすが、松永さん。頭がいい」
「いや〜どーいたまして〜」
「クレヨンしんちゃんですか?」
「けどさ、5桁の暗証番号ってあんまり見ないよな?」
「4桁とか8桁ですよね、だいたい」
液晶テレビでは天気予報をやってた。明日の島根は快晴だ。
「あっ!」
霧子が素っ頓狂な声を上げた。
「びっくりさせんなよ」
「原付のナンバー。長崎は5桁でした」
「え?そうなの?」
「小さい頃住んでたんですよ」
「長崎ってカステラが有名だよね?」
「
「こりゃ、長崎に飛んだ方がいいかもな?」
「陸運局に問い合わせたら分かるかも」
「その手があったね。もう遅いから明日だな?」
柱時計を見た。もう19時近い。旅館内にある食堂は21時まで開いている。
霧子は寒シマメ漬け丼を頼んだ。🦑
冬の美味しい時期にとれる寒シマメ(スルメイカ)を肝醤油で漬けこみ、ご飯の上へ乗せたもの。
「こりゃ〜うめーな〜、肝が座りそうに美味い」
「食レポしてるみたいだ?
「なんだかな〜」
霧子は阿藤快の真似をした。『西部警察』じゃ度々悪役として登場した。
隠岐の島はサザエで有名だ。
安吉はサザエカレーを頼んだ。
「ご両親は長崎に住んでるの?」
「小学校の頃、バスが爆発して亡くなりました」
「バスガス爆発。ぜってー嘘だろ?」
「本当です。私がスパゲッティになったのはその為です」
霧子は危うく「スパイ」と口走りそうになり取り繕った。
「美味いな?カルボナーラって呼んでいいか?」
「私は食べ物じゃありません」
「食えねー女だ」
安吉は霧子とのコントが楽しくて仕方なかった。
漸く注文していたものが出来上がった。
ウェイトレスはどことなく
サザエ独特のほろ苦さとカレーのスパイスが見事にマッチし絶妙な味を引き出している。
安吉は焼酎のお湯割りを頼んだ。🍶
仄かに磯の香りがする。海藻焼酎なので当然っちゃ当然だ。
「は〜体があったまる~」
霧子はさらにサバ刺し、のどぐろの塩焼き、隠岐そばを頼んだ。
「このそばは魚介で出汁を取ってありますね〜」
黒い海苔、ネギ、柚子が彩っている。
安吉のケータイが鳴り出した。
「あっ、雛罌粟からだ。ちょっと行って来るね?」
食堂にスリーブダガーの内通者がいないとは限らない。安吉はトイレへと向かった。
霧子はのどぐろの塩焼きを頼んだ。高級魚として有名だ。霧子は『大奥』の大ファンだ。
「美味じゃ〜」
安吉が戻ってきた。
「大変だ。飛鳥駅が爆破された」
安吉は少し挙動不審と言っても過言ではないほど慌てた様子だった。
霧子は思わず箸を置いた。
「100人以上の死者が出てるようだ。それとな?『ファーストデス』って店で不祥事が起きたけど、スリーブダガーが絡んでるらしい」
「飯なんか食ってる場合じゃねー!」
安吉の部屋、205に入りテレビをつけた。
📺今日、午後16時25分、適度に空調の効いた
この爆発により駅舎の待合室部分の天井と壁の大部分が崩壊した。その爆音は約1.6キロ先にまで聞こえた。待合室の屋根は中で待っていた乗客の上に崩落し、このテロ攻撃での死者を大幅に増やすことになった。
安吉は体が震えた。あのとき、テロリストの命令を聞いておいてよかった。
「奈良にいなくてよかった」
霧子は泣いていた。駅舎から黒い煙が上がっている。霧子のことを思って安吉はテレビを消した。
「犯人は奈良に恨みを抱いているに違いない。奈良で酷い体験をしてる」
「私も長崎にはあまりいい思いがないけど……」
「あれって嘘じゃなかったの?」
「え?まだ、信じてくれなかったんですか?信じてくれないならいいですよ!」
「怒るなよ!」
「声、大きいですよ!」
「そっちだって大っきいよ」
「は?何で、私が怒られないといけないの!?意味分かんない」
「怒ってない怒ってない」
1月14日
東京地検特捜部、吉田嘉明ディーエイチシー社長からの借入金8億円について政治資金規正法違反容疑で市民団体から告発されていた渡辺喜美元みんなの党代表と、うちわ配布について公職選挙法違反容疑で民主党議員から告発されていた松島みどり元法務大臣について、いずれも不起訴処分。
安吉は、おやつにコンビニで買ってきた肉まんを食べた。横浜事務所のオフィスの窓からはマリンタワーが見えた。
ホクホクしていて美味い。
デスクの電話が鳴ったので安吉は受話器を取った。相手は陸運局の人間だ。
《バイクの所有者が判明しました。
菅原はスリーブダガーの連中に命を狙われているのだろうか?
飛鳥駅の爆破によって弁護士の生田貴美子が犠牲になった。
安吉はパソコンを使って霧子の両親が巻き込まれた爆破テロについて調べていた。
今から10年前の1月23日、霧子が17歳のときに稲佐山に向かうバスが何者かによって爆破された。
稲佐山は長崎市市街地の西方に位置し、裾野にも多くの建造物が建ち並ぶ。山頂は観光地としても有名で、昼夜問わず多くの観光客や市民が訪れる。標高が333 mと低いながらも、長崎港を見下ろす位置にあるため山頂(展望台)から見える景色は良好で、夜景の名所として知られ、函館の函館山、神戸の摩耶山と共に日本三大夜景として位置づけられる。なお南東と北に登山道路が1本ずつ通っている。また、稲佐山からの夜景は「1000万ドルの夜景」と称される。
2012年10月5日には、モナコ、香港と並び世界新三大夜景として認定された。
バスにはC4爆弾が仕掛けられており、20名が死亡した。犠牲者の中には
翌日、正午過ぎに安吉と霧子は長崎市にやって来た。長崎半島および西彼杵半島を市域とする。諫早市、西海市、西彼杵郡時津町・長与町に隣接する。市の形状は全国的に見ても数少ない「すり鉢」状となっている。市の中心部は三方を山に囲まれており、
市の中心部を流れる川には、北部から南下し長崎港へ注ぐ浦上川と、市の北東部から長崎港へ注ぐ中島川とがある。それぞれ川沿いに平地と埋立地があり、商業地や公共施設はそこに集中する。
長崎港の外海は五島灘や橘湾に面しており、急峻な海岸線が多いが、河口部などのわずかな平地に漁港と集落が点在する。
長崎市の最寄空港は大村市にある長崎空港。長崎バイパス経由と出島道路経由の2つの系統からなるリムジンバスで結ばれている。
安吉たちは羽田空港からJAL航空でやって来た。
2人は長崎駅のロータリーに立っていた。
長崎県の県庁所在地長崎市の中心駅であり長崎本線の終着駅である。長崎県内で最も利用者が多い。博多方面への特急列車『かもめ』や長崎都市圏及び佐世保市など県北地域を結ぶ快速『シーサイドライナー』、普通列車が発着する。当駅の所属は長崎本線であるが、大村線の大半の列車が当駅まで乗り入れを行っている。 かつては本州方面への優等列車が多数運転されていたが、2008年に寝台特急「あかつき」が廃止されて以降は、発着する全ての列車が九州内のみの運転となっている。2013年10月15日より、JR九州のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」が当駅へ乗り入れるようになった。駅前の長崎電鉄の停留所からは路面電車が浜町・銅座などの中心市街地や市内の観光地などを結んでいる。
白黒カラーのパトカーがたくさん停まってる。
🚓🚓🚓
「何かあったんですか?」
安吉は思い切って警官に尋ねた。
「県警本部長のアパートが爆破されたんだ」
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